日本エネルギー会議

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国を支える人材

アメリカや中国では感じなかったが、台湾に行くと感じるものがある。それは、日本との類似性だ。海に囲まれた島国であり、資源は乏しく、人口密度は高く、隣には圧力を掛けてくる大国が存在すること。飛行場や原発の周囲にはたくさんの人が暮らしていることなど。なかでも、一番印象に残ったのは国家運営に必要な人材の問題だ。

国も企業も最後の頼みは資源でも国土でもなく人。台湾という国を維持していくには、多くの役人が必要で、中国と対峙するために軍隊、周辺の海を守るための海上保安庁、原発を運転していることで原子力規制庁などにあたる省庁にそれなりの能力を持つ人を置かなければならない。もちろん他の省庁や機関もそれぞれ人材を必要としている。

しかし、台湾の人口は僅かに2300万人で日本の5分の1以下。この人数で官界だけでなく、民間にも人材を確保しなければならない。台湾の場合、貿易立国であるから、輸出産業にも人材が取られる。銀行、証券、保険など金融界にも優秀な人材が要求される。医療機関も教育機関も同じだ。経済発展を遂げた台湾では、国土は九州程度と小さいが、一定水準以上の人材を各分野に一通り揃えなくてはならない。

私が見る限り、台湾はあの少ない人口で、よく人材の供給が出来ていると思う。その理由の一つ、台湾では大学進学率は70パーセントを超えている。(日本は現在51パーセント) 有名な故宮博物館で日本語の案内をしてくれた若い女性の知的レベルは相当のものだった。しかし、関係者の話を聞くと、現実は合計特殊出生率が世界最低で、日本を上回る少子化が進みつつあり、国としての強い危機感を抱いている。

日本もこれから急速に人口を減らしていく。福島第一原発の廃炉が終わるとされる40年後、1億人となり、今よりも台湾の人口に匹敵する二千万人以上減少する。大学を卒業して社会人となる人数が減ると卒業生の数を維持するためには大学進学率を70~80パーセントに上げる必要があるが実現はむずかしく、学力レベル低下も招くだろう。今後、優秀な学生の獲得競争は官民の間で、あるいは省庁、企業の間で苛烈なものとなる。女性の採用、定年延長なども限界がある。

核保有国のように軍が原子力技術者の供給源にならない日本の原子力界の場合、一番頼れそうなのは途上国からの留学生ではないか。東海大で途上国からの留学生に講義をした経験があるが、彼らは卒業したら日本の原子力関連企業で働きたいと言っていた。既に介護の分野では海外人材獲得に乗り出しており、大学の工学系の研究室は途上国からの留学生が下支えしている面があるという話も聞いたことがある。原子力関連の機関や企業は、ユニクロのようにもっと本気で外国人の採用、育成、幹部への登用を考えるべき状況になっているのではないか。

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