日本エネルギー会議

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新年の展望が見えない

楢葉町など一部の避難解除準備区域では年末から新年にかけての宿泊帰宅が実施されて、その様子がテレビなどで報道されている。それでも宿泊帰宅をする人はまだ少なく、帰っても隣近所はいないという状況だ。

居住制限区域や帰還困難区域の除染は遅々として進んでいない。最近、環境省は25年度末に終了するという従来の除染計画が破綻したことを認めた。新たな計画では、終了時期を最大3年間延長した。それでも双葉町は終了時期を未定としているところから、住民から見れば、環境省は除染をやる気がないと思われても仕方がない。

我が富岡町の帰還困難区域は、平成28年度末が除染完了予定となっていて、すくなくとも平成29年度にならないと解除されることはない。避難してから既に3年経ったがさらに3年はそのままということだ。今年、避難先で多くの高齢者が亡くなった。原則二年間使用で建てられている仮設住宅はガタガタだ。

全国的には福島第一原発の事故や避難のことはオリンピックや沖縄の基地問題など新たなニュースが出てきたため、取り上げられる機会が減っている。しかし、事件事故あるいは災害は、報道されなくなったあとにいろいろ問題が出てきたり、いつまでも関係者が苦労していることが多いのだ。過去の公害問題の経過を見てもその通りだ。既に事故から千日が経ち、比叡山延暦寺の千日回峰修行の如く、避難が日常化してしまい、悟りが開けるのを待つ心境だ。毎月一人10万円の精神的損害に対する賠償金を受け取っていると、人はどのようになってしまうのか。

これもそれも、政治家や役人が、住民に悪く思われたくないという私利のために「全員帰還」「完全除染」「納得のいく賠償」などと発言したためだ。幕末に日本に開国を迫った欧米の外交官が「日本人は他人に悪く思われたくないことを第一にし、相手の感情を害さないために簡単に嘘をつく」と書いているのと同じで、百年経ってもこれは変わっていない。

また、事故原因やその背景の追求も日本人は不得意で、いつのまにか立ち消えになる傾向があり、そのことも私が書かねばならないことだと考えている。いったい、国会は国会事故調の報告についての議論をどの程度したというのだろうか。これもまた、避難している人をはじめ福島県民のいらだちを育んでいる。

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