日本エネルギー会議

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人材難の影響

「原発会社経営者にとって目下の最大の悩みは、運転員や技術者の確保で、ベビーブーマ-(団塊世代)の従業員がごっそり引退した後の人材をどうやって確保するかです。例えば、南テキサス・プロジェクト社(STP)の場合、1200名の従業員(いずれも22年以上の運転経験を持つ)の40%が今後2~3年で定年退職を迎えるが、後継者の確保のめどが立っておらず、CEOら経営者は頭を抱えているようです。」

「日本では大学生などの就職活動が本格化するなか、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、深刻な学生離れに直面している原子力関連の業界団体が、東京で就職説明会を開きました。ー略ー主催者によりますと、今年度の参加者は12日の東京と先月の大阪を合わせて420人と、原発事故前のおよそ5分の1に当たる388人にとどまった昨年度よりやや増えたものの、依然として学生離れは深刻な状態だということです。」

これは先日、EEE会議(Energy、EnvironmentについてE-mailで情報交換や議論を行う会議)から送信されてきたニュースだ。

十年来、世界中の原子力関連企業や機関が心配してきたことが、いよいよ現実となってきた。団塊の世代の引退は日本だけでなく、先進国の共通の課題であり、アメリカだけでなくフランスなど原発のある国々では悩んできたが、決定打がなく、アメリカでは青少年に科学技術に関心を持たせようとするプログラムが実施され、スミスソニアン博物館でも少女がレポート作成のために館内を歩きまわる姿が見られた。大学の原子力専攻の学生数をなんとか元のレベルに戻そうとする努力についてもICONE(原子力関係者の国際会議)の場で発表されることがあった。アメリカでは建設がなくなった途端に、多くのメーカーの技術者がいなくなり、そのかなりの部分が電力会社に移ったようだが、ついにそれらも払底した。

フランスではほとんどがEDFの直接雇用で原発の運営をしてきたが、大量の退職者が出始めたため、原子炉から離れた部分から、徐々に業者に移管せざるを得なくなり、その業者の育成、選抜をどのようにするかに頭を悩ませてきた。先日も台湾で、原子能委員会の事務局が人材不足でやむを得ず業者を使い始めたと、その弊害について心配をしていた。

日本の場合はさらに追い詰められている。各国は原発の運営などを直営から請負に移行する流れが出来ているが、日本の場合は、原発の開発当初から請負に全面的に依存しており、多層構造の請負体制の弊害をどのようにするかが長年の懸案であったため、もう後がない。団塊の世代の引退問題は、監督官庁、電力会社、メーカー、請負工事会社、下請系列に一斉に起きている問題であり、総崩れに陥る恐れもある。特に中小請負企業や原子力に特化した技術を得意とする企業は、人材獲得に苦戦を強いられる。

核保有国には軍という国費で賄われている立派な人材供給源があるが、日本ではこれに期待することは出来ない。国が責任を持って福島第一原発の事故処理、廃棄物の処理処分、原発の再稼働をするというのなら、原子力政策の見直しの中に、人材育成の道筋をつける方策をしっかり書き込む必要がある。

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