日本エネルギー会議

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廃炉のためのマンパワー

東京電力福島第一原発が廃炉に向けて踏み出してから、廃炉のためのマンパワーが足りているのか、中長期的にどのように確保するのかがよく問題になっている。一度に6基の廃炉が決まり、また事故を起こした1~4号機では、現場が高線量であることも問題解決を難しくしている。

事故収束作業では、監督者、専門技術者、作業員ともに人数の確保が課題であったが、東京電力はメーカーやゼネコンの動員力に依存してきた。この方式は従来、東京電力などほとんどの電力会社が定期検査工事の度に行ってきたメーカーなど元請企業の系列を活かした、いわゆる多層構造の請負体制による人数確保方策の延長線にある。しかし、福島第一原発では、今後30年ともいわれる長期戦となる廃炉作業で、線量も全般的に高いとなると、定期検査のように短期決戦では済まない。そのための体制をしっかり作り上げ、その中でトレーニングをし、技術伝承をしながら世代交代も行なっていく必要がある。

そこで参考にすべきは、日本原電の東海原発の廃炉だ。最近、放射性廃棄物の処分場が確定しないため、廃炉作業が一時ストップせざるを得ない事態になっているが、1998年に運転終了後、現在まで商業炉として初の廃炉作業を着実に進めてきた。日本原電では廃炉作業をメーカー依存ではなく、社員が中心となって関係会社とともに技術開発をしながら、自らも現場作業を行い、ノウハウが原電内部に残るようにする方針でスタートさせた。炉心を除いて線量がそれほど高くないという条件ではあるが、東京電力のメーカー依存とは一線を画している。特にそれまで運転してきた運転員を、廃炉作業に多数従事させるなど思い切った方策を実施している。

海外では、ドイツが軽水炉の廃炉作業を着実に進めており、技術面だけでなく、体制、教育、ノウハウの蓄積などについて彼らから学ぶ必要がある。ただし、東海原発にせよ、ドイツの原発にせよ、メルトダウンした原発ではない。それだけに福島の場合、事故を起こした原発の廃炉の難しさがあり、ロボットの活用など遠隔操作による解体という技術開発によってマンパワー問題を緩和することが期待される。

福島第一原発の廃炉作業における人材確保には次のようなことがポイントになる。
(1)
原発の定期検査が二ヶ月程度の短期集中型の作業であることに対し、廃炉作業は各ステップはあるものの数十年にわたって永続的である。この点を考えると、運転時の常駐メンテナンス体制のように地域定着型、人の入れ替えが少ない固定型の体制が適している。
(2)
技術、技能、経験などによる資格制度を導入し、安定した雇用と仕事に見合った処遇を保証する。これは監督や主任クラスだけでなく、出来る限り末端の作業者までカバーするような制度にする。
(3)
被ばくを集中させない工夫として、実践的放射線防護教育や防護技術装備などの開発とともに長年経験を積んだ作業者は初心者に比べて、はるかに能率がよく、被ばくも少ない。
(4)
年間に線量の低い他の作業、他の現場との組み合わせをする。 
(5)
多層構造とならないよう、電力会社、子会社の雇用する人数を増やし、これを作業部隊の中核とする。また、他の電力会社から社員、子会社社員の出向、派遣を求め、廃炉作業経験をしてもらうとともに、マンパワーの補填をしてもらう。東京電力と各社が出向協定を結び、計画的に人員をまわす。(もんじゅにおいては過去にそのようなやり方をして現場の人員を確保していた)
(6)
労働条件、労働環境、福利厚生について、各原発サイトとの比較において遜色のないものとする。
(7)
危険手当も含めて、最低保証賃金を定め、下請作業員も含め、これが守られていることを確認する仕組みをつくる。また、長年勤務することがメリットとなるよう経験や実績が十分評価される賃金体系を採用する。
(8)
通勤、入退域確認、着替え、準備などで、実労働時間が短くなる傾向があるため、これを是正する方策を実施する。
(9)
地元に居住して勤務する人を優先して採用し、これを優遇する。

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