日本エネルギー会議

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国家資格

読売新聞によれば、自民党が放射性物質の除染作業や原発の廃炉作業に関する新たな国家資格の創設を政府に求める方針を固めた。ずさんな除染作業に対する批判や廃炉作業の人材問題への対策の一つになると記事は書いている。

従来、原子力関係の資格としては、原子炉主任技術者、核燃料取扱主任者、第一種放射線取扱主任者など、かなりハイレベルなものであり種類も少なかった。いままで、最小限の資格で済ませようとしていたかに見えた国が、原発関連の資格を整備充実しようとするのは好ましいことだ。ただし、制度を創る狙いは何か。資格者には何を期待するのかをよく考える必要がある。

従来の原子炉主任技術者は、役人に代わって原発が原子炉規制法を守っているか監視する役割を持たせていたが、企業の中で実質的にそれだけの強い権限を与えられていた、あるいは発揮していたとは思えない。これをなんとかしないと、新しい資格も同じようなことになる。単にそのような者を置いていましたというアリバイに使われては困る。

除染や廃炉の現場作業を指揮監督する立場の者に対する資格は、労働安全衛生法の作業主任者のような役割を期待しているものと思われる。既に、福島第一原発の事故関連では、除染作業を受注する企業には除染技術の講習を受けた者がいることを条件にしているが、今回これを一歩進めたものと評価出来る。 

放射性物質の取扱い、放射線下の作業の実務に精通し、作業員の被ばく管理や環境の管理を任せられるだけの実力と責任感を持った者が現場に必ずいるようにする制度は、従来、定期検査工事において電力会社が請負者に求めていた「放射線管理員」に相当するものと考えられる。電力会社は、工事会社に対して「少なくとも第二種放射線取扱主任者の資格を持った者」という条件を付けていたところが多い。この点で、除染や廃炉の資格を創るのなら、定期検査や運転に係る作業に対しても「放射線管理員」を法定資格化すべきだ。

資格が出来ることで、こうした立場の者の地位が確立し、賃金や手当に反映されれば、除染や廃炉、そして原発の運営のための人材確保に大いに役立つことが期待される。資格制度は資格取得のための教育機関、試験機関などを伴い、全国各地で教育や試験が受けられるようにする必要がある。それら機関は監督官庁の格好の天下り先になりそうだが、実質的には電力会社、メーカー、工事会社で経験を積んだ団塊の世代を活用するのが、我が国としては最も望ましいことではないか。

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