日本エネルギー会議

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オリンピック出場レベル

福島第一原発の事故前、国も電力会社も反対派に「安全だというのなら、なぜ改善、追加をするのか」と問い詰められ、過去に「安全」と言ってしまったことに縛られて追加の安全を言い出せなかった。この矛盾をどうするかを考え、対策を打たなければ、また同じことを繰り返すことになる。答えは出たのだろうか。

「世界最高水準の安全基準」も陸上100メートル走の世界記録と同じで、「現時点での」という断わりがあっての世界最高である。他の国が客観的に見てもっと安全性の高い原発を作ったら、我が国の原発は「世界最高水準」ではなくなり、直ちに停めて改造すべきなのか。いやいや、オリンピック決勝出場レベルに達していたら、一番でなくても良いのではないかという考え方も出てくるかもしれない。その場合でも、オリンピック決勝出場レベルというのは、原発のどの部分が、具体的にどうなっていることを指しているのか当事者や専門家からの説明が必要だ。外部要因についても、地震や津波に関する新たな知見がまちがいなく付け加わるだろう。さらにハードだけでなく人間系などソフトの実力が維持されているかも、どのように判断して世界最高水準だとするのか。

原発は数十年間の運転が見込まれる。この長い間には科学技術の進歩があり、いかなる原発も安全面で遅れを取ることは必然だ。設計した時からどんなに早くても数年間たってから原発は完成する。その設計はその時点で十分に実績がある技術によったもの。つまり手堅い技術だが最先端技術とは言い難いものだ。

チェルノブイリ事故のあと、ヨーロッパの人々は旧ソ連圏でRBМK(黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉)が運転しつづけたのに対して、その停止をユーロ加盟の条件にした。進歩が早ければ、どんどん古い原発は止めなくてはならなくなる。それでは、電力会社は原発を運営維持する意欲が失せてしまう。これは困った問題だ。

既に中国で新しく建設される原発は、日本の一番新しい原発とは世代が違う。日本の原発は型遅れの原発と中国側に言われて始めている。規制基準はどの程度の頻度で見直されるのか。このあたりがきっちり説明出来ないと、いくらエネルギー安全保障のためといっても、原発を容認することは出来ない人が出てくる。

「世界最高水準の安全性」という、耳あたりが良いが具体性がなく、分かったようで分からない言葉を使うこと自体、何を考えているのかわからない。「世界最高水準」とはどのような定義なのか、安倍総理に対して、国会議員は何故問いたださないのか歯がゆくて仕方がない。

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