日本エネルギー会議

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避難長期化の影響

政府は1日、田村市都路地区の避難指示を解除した。第一原発から半径20キロ圏の旧警戒区域では初めて。一方、大熊町、双葉町の大半、富岡町、浪江町の一部など、帰還困難区域や居住制限区域では、事故から3年を過ぎても住民の避難が続いており、居住制限区域であっても、国が除染に3年以上掛かるとしているので、インフラの復旧も考えると帰還は少なくとも事故から7年後の2018年になる。除染計画がいまだ策定されていない帰還困難区域に至っては、現実問題として、事故から10年程度は戻れそうもない。

避難が長期化したことの原因は中間貯蔵が決まらなかったことによる除染の遅れなどだが、その影響は既にいろいろなことに表れている。まず、元の住居に帰還することを諦めた住民が年を経るにつれて増えたことだ。彼らは避難先や元住んでいた所に近い「いわき市」などに新たに家を持ち始めている。学生は既に避難先の学校に3年以上通学し、上の学校に進学もした。高校生であれば、卒業して避難先で就職もしようとしている。また、大家族で暮らしていた家庭がばらばらに避難した状態が固定化してしまった。

避難の長期化は、人々の健康に大きな影響を与えている。これは放射線の影響ではなく、子供が屋外の運動をしなかったことから運動機能の発達が遅れ、肥満となり、高齢者を中心に欝になるなど精神的な問題を抱えるようになっている。福島県における関連死はついに震災による死者数を超えてしまった。

仮設住宅は3年も経てば傷みが激しく、住み続けるのは大変になっている。県や市町村はやっと復興公営住宅を建設し、今年から入居が始まる。民間のアパートなどの借り上げも続いている。県はこの家賃補助(月6万円)を事故直後からずっと負担し続けている。健康保険税、医療費自己負担、高速道路料金、NHK受信料の免除も事故後ずっと続いており、これらの財政負担は巨額である。

事故の賠償金は避難の期間が長くなるのに比例して精神的苦痛への月10万円の支払が続いて、個人への累積賠償額は増大している。東京電力は最近になって、精神的損害について、区域解除後は一年間で終了、帰還困難区域については今年中に追加で一人あたり750万円 の支払をすることでこの賠償を打ち切りとすることを表明している。

事業主への年間利益の賠償や就労不能に対する賠償は今年1年延長され、とりあえずそこまでの賠償と考えているようだ。しかし、広大な田畑、山林の賠償もこれからであり、最近は自治体や団体が東京電力に賠償請求を出すケースが見られる。東北電力からの賠償請求も先月初めて行われた。

上記4町では、津波や地震からの復興も除染が出来ていないため大幅に遅れている。川内村、田村市など山間部の市町村は、4町とのつながりが絶たれたため、新たに中通りやいわき市、あるいは南相馬市とのつながりが強くなっている。物流ルートも変わり、人々が行く買い物、病院、働き場所も違うところとなった。解除されない地域に残された住宅、工場、公共施設、田畑、山林などは人が管理しなくなったため、年々荒廃が進んでおり、帰還後手入れをして再使用することが難しくなっている。

除染が遅れるとともに、第一原発で汚染水の問題などが続き、避難している人に避難がさらに長期化するとの印象を持たせている。

私の家は帰還困難区域にあるが、出来れば戻って元の家で暮らしたいと思っている。今年度から一時帰宅が年間10回から15回に増えたので、おおいに帰宅して建物や庭の維持を少しでもやろうと考えているが、問題は今から7年後(事故から10年後。私は77歳になる)に、夫婦ともに田舎暮らしを出来る健康と体力が維持出来るかである。もし維持出来なければ買い物、医療、介護に便利な都市で老後を送るしかない。

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