日本エネルギー会議

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聞かずにはいられない

最近、朝日新聞が、福島第一原発の事故に関する調書の開示問題を取り上げている。昨日の記事によれば、当時の福山官房副長官が、「SPEEDIの存在を知らなかったことは大変遺憾であるが、もし、3月11、12日の時点で、SPEEDIの存在を知っていても、同心円状での避難は不可避」と証言したという。理由としては、ベントをすれば放射性物質が外に出るリスクを抱えている状況で、地域を区切ってちゃんと避難指示ができたかというと、それは政治的にはできなかったといまだに思っているからだという。具体的に「さらに言えば、あなたはここは大丈夫ですけれども、あなたからこちらの境は逃げてくださいなどという説明が、あの時にできたと私は到底思えません」とも言っている。

私はエッセイで自身の体験から避難のオペレーションの難しさを何回か書いているが、事故から3年も経つのに、いまだにどのように避難指示を出すのかが明確でなく、その結果が住民に知らされていないのはおかしい。今はまだ全原発が停止しているからよいというものでもあるまい。

事故を起こした原子炉がどのような状況にあり、どの程度のリスクが見込まれるか、避難経路にあたる道路や輸送手段の状況にも左右されるので、簡単に指針などは出せないだろうが、一通りの検討は行われてしかるべきだ。一番簡単な方法は、今後24時間の風向きを時間帯別に予報し、それを参考に避難することを求めることだ。また、道路の状況なども知らせてもらいたい。もしも、不通箇所が生じているようだと大パニックになりかねないからだ。

難しいからといって検討をしない、検討した結果が大きな反響を呼びそうなので公表は控える、将来の課題として曖昧にして先送りする、追求されないように他の問題をクローズアップして批判の目をそらす。難しければ、そのことを正直に伝えて事業者や自治体や住民に緊張感をもたせるべきではなかったのか。官僚を中心とするこのような保身のための悪知恵で、いままでどんなに悲惨なことが繰り返されてきたのか。その代表例として福島第一原発の事故の際の避難がある。今回明らかになった福山元官房副長官の証言に対して、現在の政府関係者はどのように思っているのか聞かずにはいられない。

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