日本エネルギー会議

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続・なぜ日本人は原子力が嫌いなのか

原子力は科学技術であり、原発は電力の生産設備である。それを電源として選択するかどうかは、主に経済性、安定性、安全性、環境負荷などを他の電源と比較して決めることだ。しかし、原発に反対する人の多くは原子力が嫌いだからという理由で選択したくないのだ。その人たちの中で、原発のメリットデメリットを比較し、冷静に判断して即脱原発を選択した人は少ないはずだ。好き嫌いであるから、経済性などの条件は後付けであり、学者もいろいろなことを言うから、原発を嫌いな人は自分の結論に合致する学者の話を受け売りしただけだ。

三高(背の高さ、学歴の高さ、収入の高さ)で恋人を探すと言っていた女性が、恋愛すると理屈はなくなり「単に好きだから」ということになる。原発の場合も、感覚的直感的に嫌いになり、あとは理屈を探し、同じ仲間とくっつき、仲間を増やそうとする。好きになった人とは心中しても良いとまで思いつめるのだから、原発を完全にやめて万一停電してもそれは甘んじて受け入れるつもりだ、あるいは再生可能エネルギーでやれば大丈夫と自分で自分を納得させている。(実際に停電という事態が起きれば大慌てすると思うが)

原発を推進する側も、原発を米英から導入しようとした当初、原発のイメージは「明るい未来のエネルギー」として輝かしいものであり、メディア操作もあって、国民の評判は上々であった。開発途上の技術であり、いろいろな問題も出てくること、使用済燃料や放射性廃棄物についてはどうするか具体案はまったくないことはあえて知らせなかった。こうして開発当初、原発が極めて好意的に、期待をもって受け入れられたことが後に仇になる。事故トラブルや不祥事が続出し、好きな人に裏切られたように一気に原発に対する不安と不信が沸き起こった。これが逆であれば、ここまで嫌われることはなかったと思う。

また、その際の対応も今から思えば稚拙を極めたもので、情報の隠蔽や小出し、政治家にまつわる疑惑、地元に対する札束攻勢など、人々を原発嫌いにさせるのに、これ以上ないようなものであった。現在の福島第一原発事故の収束作業がそうであるが、期待を裏切り、信頼を失うことほど致命的なことはない。こうなると、原発の優れた点を示す資料もすべて疑いの目で見られるようになってしまう。情報公開に努めても、まだ何か隠しているのではと思われる。

このようなことを省みると、人々を原発に対して好き嫌いでなく、冷静に判断をするようにしてもらうためには、当事者が自ら進んで問題点を先に言うこと、根気強く実績を示していくことで、原発問題やエネルギー問題を感情的に判断するのは誤りであることに気づいてもらうしかないのではないか。

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