日本エネルギー会議

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国策民営の疑問

「原発は国策民営で行われている」と従来から言われていたが、再稼働が遅れ電力会社の経営状況が厳しくなった昨今、再び「原発は国策民営」という言葉が電力会社トップから聞かれるようになった。

電力会社は電力の供給責任と引換に、地域独占や総括原価主義、さらには火力の燃料価格の変動による料金の調整まで認められている。電力供給そのものが、安定供給を目的とした「国策民営」である。  

そのうえで、我が国がエネルギー安全保障の観点から、海外の政治経済情勢に左右されにくい電源すなわち原発を持つことを国策とし、その具体化を電力会社に委ねたということが「原発の国策民営」である。電力会社は電力供給と原発開発の二重の「国策民営」を担っている。

原発の場合、国策民営といっても電力の供給責任のように、キッチリとした約束や条件が法律で決まっているわけではない。原発は準国産エネルギーとの位置づけにより、エネルギー基本計画で、全国レベルの目標数字を掲げているが、個々の電力会社に発電量の何割を原発で発電するとか、電源構成をどのようにするといったことは国から指示していない。原発の国策民営は、国と電力会社双方が、電源に占める原発比率を高めていくことを暗黙の了解で行っていたに過ぎない。次に示す事柄で国が何らかの達成条件を付したものは少なく、法律に基づかず行政指導で行われたものも多い。

(国策という理由で、国が行ったこと)
(1)原発を所有したり運転したりする事業者を電力会社に事実上限定した。
(2)毎年、原子力研究などに多額の予算をつけ、原研の研究炉、動燃の新型転換炉や高速増殖炉の建設や運転をした。
(3)電源三法の税収を原子力の研究費と立地地域への交付金として配分した。
(4)原発メーカーを日立、東芝、三菱、富士の4グループに事実上限定し、過当競争を防いだ。
(5)電力会社の原子力損害賠償の支払いの上限を決め、それ以上は国負担とした。
(6)原発建設のため政府系金融機関の長期低金利の資金を貸付けた。
(7)国立大学に原子力工学科などを設け、研究と人材育成を行った。
(8)国として原子力推進のための広報活動を展開した。
(9)アメリカと交渉し、核保有国以外で唯一使用済燃料の再処理を認めさせた。
(10)原発メーカーの輸出先国と条約締結をするなど環境整備をした。
(11)高級官僚の国際機関派遣や電力会社役員への天下りをした。
(12)高レベル放射性廃棄物の処分場を探すための認可法人を作った。
(13)規制当局を経済産業省内に置き、身内に規制を行わせた。

(電力会社や原子炉メーカーの行ったこと)
(1) 電力会社が炉型を決め、原発メーカーは対電力で独占的取引を行った。
(2) 電力各社の供給エリア内に立地を確保し建設を進めた。(東電、日本原電は別)社内に原子力部門を作り、体制を拡大した。
(3) 各社が競って原発比率を高め、メーカーとともに原発の国産化、大型化を図ったが、稼働率は目標に届かなかった。
(4) 多くの子会社、業界団体、関係団体を作り、勢力範囲を拡大するとともに、社員の退職後の受け皿とした。
(5) 寄付金や人的支援によって、立地地域の経済活動、社会活動などに深く関与した。子会社やその下請け企業を通じて地元に安定した雇用を提供した。
(6) 各社は使用済燃料の海外処理を行いつつ、日本原燃による三点セット(濃縮、再処理、廃棄物貯蔵)を建設した。
(7) 廃炉のための費用の積立をし、一部で廃炉を開始した。
(8) 国の研究機関が行う高速増殖炉の建設と運転に人的支援を行った。
(9) 電事連を中心に電力総連とともに政治活動を行って所管官庁に対抗し、巨額の広告費でメディアにも力を及ぼした。

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