日本エネルギー会議

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夢のマイホーム

若い夫婦にとってマイホームを建てることは一番の夢だろう。福島県の各世帯の持ち家率は80パーセント台と高いが、二十代、三十代に限って言えば20~40パーセントである。浜通りの町村では、若い世帯のほとんどは親と同居か、民間アパート、町営住宅に入居していた。大熊町、双葉町、富岡町の3町が県の平均に比べて持ち家率が低いのは他の地域から流入した若い世帯が多かったからだ。マイホームを建てた人もほとんどが共稼ぎで住宅ローンの支払いに追われていた。(グラフは県の統計による。茶色は県平均)


避難した若い世帯は避難先で引き続き雇用されたり、転職したり、また自営業を新たな地で継続したが、そうでない人は就労不能賠償として、前年の収入が賠償された。仮設住宅や借り上げアパートの家賃は実質無料であり、健康保険税、住民税も免除されるなど、この三年間の生活で、貯金を取り崩すこともなかった。

東京電力は精神的苦痛に対する賠償として、文部科学省の委員会の作成した指針をもとに、大熊町など帰還困難区域内では、月一人10万円を23年3月11日から29年5月31日まで75ヶ月分の支払いを既におこなった。一人当たり750万円である。夫婦と子供が2人合計4人いると3千万円になる。これに家財の賠償が4人家族の場合、1千万円弱。それに移動費などもあるので、自宅を所有していなかった場合も、一家族4千万円を超える賠償金が入っている。地銀トップの東邦銀行の期末個人預金残高は記録を更新した。

代表的な避難先である郡山市は、福島県内でも地価が高い方であるが、駅周辺や特別な地域を除けば、宅地は坪15万円から20万円として約80坪を1500万円程度で入手出来る。建物は坪単価60~70万円が相場。3LDK床面積40坪の家で、2500万円出せば地元の工務店が建設してくれる。若い世帯でも、貯金に手をつけず住宅ローン無しで標準的な夢のマイホームを建てることが出来るようになった。

昨年あたりから若い人を中心に続々と家を建てたり、中古住宅を買って、仮設住宅や借り上げアパートを出る家族が増えている。子供が地元の学校に入学すれば、浜通りには帰還せず、そのまま土地に根付くだろう。

その結果、避難者に人気のいわき市では不動産物件が払底。住宅情報誌もネタ切れで発行が出来ない。郡山市でもこのところ値上がりし、地方では珍しく地価の下落がない。ハウスメーカーは人手不足もあり、契約しても着工が2年待ちの状態だ。

人の財布を覗き込むのは良い趣味とは言えないが、メディアは県民の間の嫉妬や区域による差を気遣ってか、賠償金額やその使途についての報道をしない傾向が見られる。当初、月10万円の精神的苦痛に対する賠償額は、交通事故の慰謝料の最低額にしか過ぎないと避難者から評判が悪かったが、対象期間がこれほど長くなったため、建てる場所が違ったとはいえ、子供のいる家庭の夢のマイホームが叶う結果となった。

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