日本エネルギー会議

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土石流の危険

「今年の十大ニュース」に入る土石流災害が広島市北部で発生した。90人の死者・行方不明者を出した災害の捜索活動が続いている最中に、今度は北海道礼文島でも土砂崩れで死者が出た。災害が発生した地域は、花こう岩が風化した「まさ土」と呼ばれるもろい地質のようだ。テレビの映像を見て、こんな急斜面の下に住宅を建てたことに驚いたが、同時に全国の原発のことが頭をよぎった。
原発の立地地点は大きく分けて二つの地形に分けられる。一つは浜岡原発、柏崎刈羽原発、東海原発、東通原発のように平野がそのまま海まで続き、幅広い砂浜になっている地形。(写真は茨城県の東海原発)

もう一つが、泊、女川、志賀、敦賀、もんじゅ、美浜、高浜、大飯、島根、伊方など、リアス式海岸で急峻な崖が立ち上がり、山を一部削って擁壁で固め、前の海面も埋め立てて敷地を確保せざるを得ない地形である。(写真は福井県の敦賀原発)

豪雨に対して心配なのは後者の地形だ。写真で見るように原子炉建屋やタービン建屋のすぐ後ろに山が迫っている。昭和56年に敦賀湾に放射能漏れを起こした放射性廃液処理建屋もまさに擁壁のすぐ下に建てられている。外部電源として過酷事故時の命綱ともなる送電線の鉄塔も山の稜線に見える。福島第一原発の事故後の対策として大飯原発で運搬型の非常用発電機が勢いよく黒煙を上げたのは、法面につくった道路上であった。建設当時十分な検討をし、山が崩れることのないように施工されているはずだが、心配なのは今日の雨の降り方がかつてない異常なことだ。

温暖化の影響で海水温度が高いせいなのか、気象庁の発表する雨に関する報告も「記録にない」「50年に一度の」などの形容詞がついている。強い雨に伴って落雷や竜巻も頻発している。万一の際の避難道路が土砂災害で不通になるのも心配だが、当面は各原発で擁壁や排水路を再点検、補強をすることと、擁壁や裏山にセンサーやカメラをつけて豪雨の際に監視をする必要がある。土石流や土砂災害は雨が上がっても再発することもあり、機械力を使っても、復旧は容易ではない。

広島市の住民も過去数十年住んでいたが、このようなことはなかったと言っている。今までの経験、実績で判断してはならない異常気象が現実のものになっていることを関係者は認識する必要がある。

一方、前者の場合でも川の氾濫や地震にともなう液状化現象は大きな心配だ。川に掛かる橋なども通行止めになり支援にかけつける人々が、原発に近づけなくなる可能性がある。また、液状化はいろいろなところで起きている。これに人口密集、道路事情、停電、断水などの条件を併せて考える必要がある。原子炉建屋などは強固でも、その扉や周囲の施設はそれほどでもないことが柏崎刈羽や福島第一原発の事故でもわかっている。原子炉規制委員会がこの点をどう評価したか。土石流や液状化は、火山の噴火よりはずっと現実味がある。

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