日本エネルギー会議

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外見から評価することの危険性

現役時代に地域の方々など外部から来られた原発見学者に対して説明をした経験が少しある。従来は、時間の関係もありという理由をつけて、原発の安全性については建前だけを説明する、あるいはアニメーションや簡略図などを使い大筋を理解してもらうことが多かった。見学後にご意見を伺ったりアンケートをとったりして、原発の安全性についてご理解いただけたかを問うと、理解したと答えられた多くの方が、外見的な印象を基に安全そうだと思われていた。
「発電所の建物が想像以上に、大きく頑丈そうに造られていた」
「実際に機器を見るとすごいものだと思った」
「原発の構内、内部が見事に整理整頓されており、チリ一つ落ちていなかった」
「いろいろなところに安全の注意書きや標語、ポスターがあり、通路も確保されていた」
「挨拶された幹部の方や説明してくれた人が誠実そうで信頼がおけた」
「何を聞いても丁寧に答えてくれ、例え話など説明がわかりやすかった」
「職員や作業員の方まで、服装がきちんとしており、行き合う際に挨拶をさ れるなど、礼儀正しかった」
「中を見学して回ったが、被ばくゼロだった」

見学者は、現場が忙しそうなのに大勢で対応してくれたなど、世話になったという気持ちもあり、安全と判断した理由としては、情緒的、外見的なものがほとんどで、内容について理解したものではない。事業者もそれを意識して、特に外観や礼儀正しさ、誠実さなどに気を配る傾向があった。(日本的特徴とも言えるのかもしれない)

原発再稼働を前に、地域の住民にどのように説明をしてきけばよいかは悩ましい問題である。まず福島第一原発の事故でどのような点が問題であったと原子力規制委員会が指摘し、それをどのような形で規制基準に盛り込んで、それに対して当該原発では具体的にどのような対策が講じられたか、それでも残るリスクに対しては、どのような準備がされているかについて説明する必要がある。これだけでも担当者にとっては重荷であることだろう。説明出来るだけの材料を揃えて、きちんと理解した上で説明出来るまでには相当の準備が必要である。公聴会などで事業者が聴衆として「さくら」を送り込んだり、「馴れ合い質問」をさせたりした事件があったが、きちんとした説明をすることが、いかに大変なことかを裏付けるものだ。

説明を受ける側も楽ではない。肌感覚で判断していては福島と同じ轍を踏む可能性がある。大変でも時間をかけてしっかりと自分で内容を理解しなくてはならい。理解出来ないことは、理解できないと言う必要がある。

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