日本エネルギー会議

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言葉で失敗する人

「世界で最も厳しい基準」は安倍内閣の好んで使う言い方だが、これに対しては各方面から異論も出ている。考えてみると「世界で最も厳しい基準」は、いろいろな問題を孕んだ表現だ。日本の基準が世界で最も厳しいと誰が認めたのか。すでに世界には日本の原発より新しい設計の原発も存在することから、そうしたものとの比較をすれば既設炉ではどうにもならない点が出てくる。

基準といっても対象はさまざまで、全部がそうであるとは言えないだろう。原発を運転するにはハードばかりでなくソフトも重要だ。基準はハード中心で、ソフトの水準が気になる。科学技術は日進月歩。昨日までリードしていたとしても、明日はわからない。基準を作成した人も、世界で最も厳しいものをつくろうとしたわけではないだろう。

安倍首相はオリンピック招致活動の際の「アンダーコントロール」発言で話題を呼んだが、9月22日に国連総会の合間に行われたワールド・リーダーズ・フォーラムで、「現在日本は完全に化石燃料に依存している」と指摘した上で、「政府は再生可能エネルギーの早期導入を目指している」と述べた。さらに「原子力発電所の再稼働について、安全が再び100パーセント確保されない限り、再稼働を行わない」方針を示したと報道されている。

「安全が100パーセント確保されない限り」などと、出来そうもないことをよく言ったと思うが、論理的には再稼働した暁には100パーセント安全が確保されたということになり、それは原子力規制委員長をはじめ専門家が、どんな場合も100パーセントはないと明言していることと矛盾する。

日本の大臣は海外に行くと、日本語の曖昧さを外国人が理解しがたいと思うのか、どうも表現が荒っぽくなる傾向がある。こういう言葉の積み重ねで、既成事実化する手法は誰の知恵だかわからないが、国民は自分たちが馬鹿にされていると思うとともに、安倍内閣の本性を疑うきっかけにもなりそうだ。金に頼るものは金で、技術にたよるものは技術で、言葉にたよるものは結局、言葉で失敗する。

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