日本エネルギー会議

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高齢者による高齢者ための町

福島第一原発の事故後、住民のいなくなった双葉郡の町村では、臨時の役場庁舎を中通りに移し、復興計画の作成に余念がない。避難した住民のほとんどは県内にいるが、三年もの歳月が経ち、東電の賠償が進んだ結果、避難先などに新たに家を購入するなど、「帰還しない」と決める世帯が着実に増加している。特に若い世代や子供のいる世帯は、子供への放射線影響を心配して戻らないとする傾向が根強い。また、新たによそから住民を呼び込む際も、高齢化社会になっているため、若い世代は簡単には来ないだろう。アンケート調査結果からみても、一番帰還にこだわっているのが高齢者である。

双葉郡の町村は事故以前と比較すると、住民の数が半減、あるいはそれ以下になると予測され、当面は、住民の数をいかにして確保するかに追われている。そうなると元の町村に帰還するのは、高齢者が中心となるが、復興計画はこうした状況を踏まえて戦略的に考える必要がある。そうなると無理をして若い人に来てもらうことばかり考えず、高齢者を中心に町づくりをすることが現実的である。高齢者は毎年一定の割合で亡くなっていくため、先細りではないかと思うが、毎年次の世代が高齢者の仲間入りするため当分人数は安定的である。

高齢者を呼び込むためには、医・食・住などに関して、次のような高齢者の希望を叶える必要がある。
(1)持病の治療が継続的に出来る病院、緊急医療体制
(2)日常生活に必要な食品、日用品が買える場所
(3)金を掛けずに仲間との交流時間が過ごせる場所(スポーツ、文化)
(4) 野菜作りや園芸が楽しめる土地、自然に触れる機会
(5)待たずに入れる快適な老人ホーム、介護施設、手厚い支援サービス
(6)小遣いかせぎが出来る機会(短時間就労、軽作業)
(7)安いあるいは無料の移動手段や運搬手段の提供(町内無料タクシー、デマンドバス、無料宅配) 
(8)周辺環境の維持管理(土地が荒廃しないように)

これらを整えるには、財源が必要となる。勤労世帯が減り、企業も去ったことから、税収は期待出来ず、国や県からの交付金に依存する割合が増している。そのため、固定的に安定した財源を確保することが必要であるが、そのために次のようなことが考えられる。
(1)原発関連の税(長期保管の使用済燃料に対する核燃料税)、交付金(廃炉期間中の三法交付金継続)
(2)除染で出た放射性廃棄物保管の負担に対する交付金
(3)東京電力をはじめとする廃炉関連企業の事業税など、本社を地元に誘致
(4)廃炉関連で国や企業に自治体が所有する土地を長期に貸す
(5)ふるさと納税の推進(避難移住した人やボランティアから)
(6)風力発電やメガソーラーを海沿いに設置し電力料金を得る。あるいは用地を貸す。
(7)医療施設建設、高収益の農業を町が事業主体となって起こす。(野菜工場導入)

高齢者を支える事業や財源確保のための事業に従事する中年世代、若い世代が町に通勤あるいは住む必要があり、それを呼び水に若い世代の住民を増やしていける。また、高齢者は見回りや軽作業に向いているので、元気な高齢者もそこで働くことにするとよい。

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