日本エネルギー会議

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離脱

都会に住んでいる人はこんなニュースは知らないことが多い。長野県はエネルギー自給率を向上させる取り組みを行っている。年間の最大電力需要に対して再生可能エネルギーの割合を2010年度の58パーセントから2017年度に70パーセントを供給できるようにする目標を立てたが、昨年度中には早くも69.8パーセントと目標を達成した模様だ。

中身は、既存の水力発電に加えてソーラー、小水力発電、バイオマス・廃棄物発電で、なかでもソーラーが12年度から13年度にかけて倍増したことが貢献している。2013年度は夏の猛暑の影響により、最大電力需要は295.5万キロワットになったが、地元産の再生可能電源でこの70パーセント弱をまかなえた。電力会社側が送電線や受電先の問題をなんとかしないと、まもなく受け入れは限界に達する。 

一方、 震災後、全国的に電力の供給不足や電気料金の引き上げに備える企業の動きが広がっている。例えば、ブルドーザーなど建設機械で有名なコマツは、このほどリニューアルした北陸電力管内の主力工場で自家発電設備の活用や省エネ型設備の導入により、北陸電力からの電力購入を3年後に半分に減らす予定だ。

一般家庭で屋根にソーラーをつけた住宅では、昼間は電力会社からはほとんど買っておらず、さらに余剰を電力会社に売っている代金は夜間に電力から買う電気代より多い。電力会社は大手家電量販店がソーラーを販売するたびに、小口の需要家を一軒づつ取られている状況だ。格安の深夜電力をエコキュートなどでたくさん消費されても、今は、原発ではなく火力発電で供給しているから燃料費が掛かり電力会社は儲からない。電力会社がオール電化で大いに売り込んだエコキュートもいまや重荷だ。

大口にせよ、小口にせよ需要家が離脱していくことは、将来の電力会社の供給設備過剰につながる恐れがある。人口減少、企業の海外移転や省エネ投資が、毎年の電力需要の減少やピークの低下を招いているとされているが、これと合わせて需要家の離脱もじわじわと影響してくる。

現在、古い原発を再稼働させるか廃炉にするかで電力会社は厳しい選択を迫られているが、その際、二年後に迫った電力の完全自由化を見据えると、他電力や新電力による需要家切り崩し、自給自足の進展による需要家の離脱も考える必要がある。電力需要が右肩上がりで勢いよく伸びていた時代、原発は供給側の切り札として建設、大型化が進んだ。需要が右肩下がりになった今、電力会社は無理をして古い原発を温存すると、設備が過剰になる悩みを抱えている。

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