日本エネルギー会議

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避難区域と高齢化

元総務大臣の増田寛也氏が座長を務めた「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会の推計が話題になっている。現在1800ある市区町村のうち、30年後に半分は消滅するという衝撃的な内容は、「増田ショック」と命名された。実はこの推計では、福島県は空白になっている。福島第一原発の事故により、多くの避難者がいて、最近の動向が把握出来なかったためと思われる。

県の統計によれば、避難区域の高齢化率は下表のように各市町村とも前年より上昇している。上昇幅は福島県全体より0・3ポイント上回った1.1ポイントであり、これは高齢化率50パーセントを超えた奥会津地方なみの上昇幅だ。その原因は避難区域から若い世代が郡山市やいわき市など都市部に移動した(住民票を移した)ことによるとみられる。

避難区域の平均高齢化率は2014年には県平均を上回る30パーセントに達している。市町村ごとに見ると、田村市から飯舘村に至る山間部では軒並み30パーセントを超えているのに対して、海に面した広野町から浪江町に至る原発立地付近の町では未だ30パーセントを超えていない。

福島第一原発の事故以前、海岸部の町は若い人が多く住んでいたが、それは原発や火力発電所で働く人が10000人近くいたことが影響していた。彼らは南相馬市、いわき市、川内村からの通勤者もいたが、多くは富岡町、大熊町、浪江町など商業施設や保育施設が充実している町に家族とともに、あるいは単身で暮らしていたのであり、そのための市営住宅や民間アパートがたくさんあった。このため、海に面した町では多くの移住者がいたにもかかわらず、高齢化率が未だ30パーセント未満にとどまっているのだ。

多くの避難者はいまだに元住んでいた市町村に住民票を残しており、統計を取るとまだほとんどの人が、避難区域に住んでいるようになる。だが、東京電力からの賠償が続いている中で、郡山市やいわき市など都市部に就職先を求め、家を確保した若い世代と中年世代の全員が、家族ともども住民票を移しているとは限らず、統計には表れない隠れ移住者がかなりいると思われる。

また、アンケート調査によれば、もとの町への帰還希望が多いのは高齢者であり、区域が解除されても実際に元の避難区域に暮らす若い人は少ないと予想される。増田ショックで「自治体消滅」の危機にあるのは、人口減少が止まらない自治体のことであり、その原因は自然減(出生数より死亡数が多い)と社会減(流入数より流出数が多い)だ。自然減について言えば、福島県全体では過去一年間に、1700人死に1155人生まれている。これに対して避難区域では160人死に95人生まれており、自然減の人口に対する割合は避難区域の方が多めだ。

社会減の方は原発事故の避難で、時が経つにつれ、さらに避難先など都市への流出が続きそうである。避難区域でこれまでに区域解除された市町村はいずれも住民、特に若い世代の帰還が進まないことに悩んでいる。福島第一原発の廃炉に30年かかるとされ、なんとなく雇用や町の財源は確保されるような感じを持つ人か多いが、避難区域であった町村で住民がどの程度確保出来るのか、年齢構成についても人口の再生産が出来る状況に戻せるのか予断を許さない状況だ。

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