日本エネルギー会議

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福島の明日

東日本大震災で東北各県が大きな被害を受けたのが3年7ヶ月前。福島県は原発事故で、いまだに浜通りには避難区域が存在し、12万人が県内外で避難生活をしている。月末には知事選挙が予定され、現役の佐藤雄平氏の立候補断念で、新人6人が立候補しているが、地元政治経済誌の表紙には「史上最低の投票率で元副知事の圧勝」との文字が踊っている。

候補者は誰もが原発事故からの福島の復興を掲げているが、復興は単に過去の再現ではなく、次の時代がどのようなものになるか、あるいはどのようにあるべきかを的確に捉えて、その時代を先取りしていかねばならない。候補者の政見を新聞やテレビの政見放送で見ると、いずれも福島第一原発の事故の傷跡に引きずられ、ビジョンにも輝きがない。

日本など先進国は経済の低成長、デフレ基調、低金利が続いている。経済成長路線への復帰を求めてアベノミクスの挑戦が続いているが、例えばメタンハイドレート開発が成功し、アメリカのシェールガス開発のような資源大国化による再浮上でもなければ、人口減少と高齢化が著しい日本ではマイナス成長からの脱却は難しい。

グローバリゼーションと市場原理に任せておけば、国際的にも国内的にも格差が際限なく広がり、それを政策的に救うと国の財政が破綻する。敗者復活制度がないまま社会的不安が頂点に達すれば、民主主義そのものが危機に陥る。すでにイスラム国などにその兆候が見られる。

世界中で都市化が進み、いままで人が暮らしていた場所の荒廃と自然環境破壊が同時に行なわれ、都市で暮らすことで人々のストレスが増加している。温暖化は自然災害を大型化し、都市を襲おうとしている。

先進国型のエネルギーを使い放題にする時代は人口爆発と温暖化により終わりを告げ、人々の関心はより低公害、より安全なものに向かっており、その結果、資源の節約、リサイクル、厳しい環境規制が進もうとしている。

こうした影響は、国はもとより福島県という地方自治体にも直接及んでくる。これがグローバリゼーションの現実だ。今は復興景気に沸いている福島県だが、県全体のトレンドとして低成長あるいはマイナス成長が読み取れる。格差拡大も福島県だけが例外とはならない。県内でも人口減少と高齢化が加速しつつある。また、人口が郡山市、いわき市、白河市に集中、町村の過疎化、空洞化が深刻になっている。都市でも県庁所在地の福島市の没落ぶりが目立つ。現在の福島県は、若い人々をこの地に踏みとどめ、東京などからのIターンや外国人を惹きつける力を持っているとは言い難い。むしろ、全国どこにでもある中途半端な都会化した地域が広がっている。

福島第一原発の事故の影響が尾を曳いていることばかりを強調していても、これらの課題解決にはならない。他県がすでに大きな改革に取り組み始めていることからすると、東日本大震災の被災県、なかでも福島県は周回遅れでスタートを切ろうとしている状況であることを候補者も県民もしっかり認識する必要がある。

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