日本エネルギー会議

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原発大型化の理由

電力会社は40年経った原発に関して、廃炉するかどうかの判断を国に迫られている。対象となっている敦賀1号機など7基はいずれも出力が30万~40万キロワットと小さいため、新基準適合やさらに20年の運転期間の延長をするための投資をした場合、運転によってそれが回収できそうもなく、これらを所有する電力会社はいずれも頭を悩ましている。

日本では原発の出力は開発の歴史とともに大きくなってきた。現在は出力100万キロワット級が一般的で、最新のものは出力120万キロワットのものもある。大型化に向かった理由は大型のものほど、いわゆる規模の利益による経済性が優れているからだ。原発の発電コストが他電源に比較して安いと主張出来るのも、大型化した効果によるところが大きい。

具体的には、貴重な敷地の有効活用が出来る、建物や設備は出力が大きくなってもさほど変わらず建設費、保修費が割安。運転員の数は出力には関係しない。立地にともなう土地の買収費、漁業補償、建設運転の人件費、廃棄物の処理処分費など発電量で割ることで、1キロワット当たりにすれば、いずれも僅かなものになってしまうのが魅力だ。

大型化するためには設計製造上の問題、大型機器の現地までの輸送問題、現地組立の問題などがあったが、これらが年を追ってクリアされたことにより大出力の原発が実現した。今後、さらに大型化するのを阻むのもこれらの条件であり、そのためには製造工場の建屋、製造設備、港湾などを造り変える必要がある。

また、別の制約として大出力の電力を受け入れるだけの需要があることが、大型にするかどうかの判断要素となる。地方の電力会社では総需要がさほど大きくないため、大型原発を造ることで、需要が一番少ないときに、供給過剰となってしまう。現に、四国電力では伊方原発建設に併せて揚水式の水力発電所を建設して余剰の電力に備えた。この問題は途上国でも発生する。

大型化はメリットばかりではない。事故やトラブルで停止したときには、供給に関して大きな穴を開けることになってしまい、このための対策が必要となる。電力会社にとって、大型原発が安定的な運転をしている間は収入面で貢献していても、長期停止をしたときは大きな赤字の原因となる。大型原発は巨額で長期の投資であるため、電力会社として無事に投下した資金が回収出来るかのリスクを永く抱えることにもなる。

小型の原発を一つの敷地内に数多く造った場合、設計製作上の量産効果はあるものの、耐震対策、安全装置、テロ対策、諸手続きなどに一基づつ費用が掛かることになる。建設も全部が完成するまでに多くの年月が掛かる。また、運転には人件費が基数分掛かってくる。事故トラブルの確率も基数により増してくる。現在までの世界の原発建設の実績からすれば、中型、大型原発が標準化をして一サイトに4基程度同じものを集中的に建設されることはあっても、小型のものを数多く造るやり方はカナダのCANDO炉くらいで、カナダ以外では韓国に一例あるに過ぎない。これらのことから、原発の場合は需要面さえ許せば、可能な限り大型化して原発の強大なパワーを経済性に活かすような傾向が続きそうだ。

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