日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

追加賠償の疑問点

福島第一原発の事故の賠償で新たな動きがあった。避難区域内の家の賠償を受けた人から、「受け取った賠償額では避難先に家が購入出来ない。なぜなら、同じ福島県内でも浜通りと比べると中通りでは地価が高いからだ。また、避難者が多く気候も似ているいわき市では不動産価格が高騰してしまっている。復興景気で賃金や資材が値上がりしている。」という不満が寄せられたことに対する追加賠償が行われることになったのだ。

具体的な内容は、これから買おうとしている家の価格と賠償額に差があった場合、その75パーセントを補填するというもの。例えば双葉町の古い家(土地は借地でもよい)の賠償額が1千万円だったとする。今度、新たに郡山市で買おうとすると同じ程度の家を(土地も含めてもよいことになっている)新築すると3千万円掛かるとする。この差額2千万円の75パーセントである1千5百万円を補填してくれるということだ。なんと元の家の賠償額の1.5倍も上乗せして払うというのだ。「これでは、誰も不満を言う人はいないだろう」とは、東京電力から実際に金額の提示を受けた人の言葉である。

ところが、既に支払われた賠償金を使って避難先に中古の家を買ったり、新築したりしてしまった人が相当数いるが、「今後新たに家を買う人」が対象なので、その人たちには差額補填の恩恵はないのである。彼等からは、「そんな補填をしてくれるのを知っていた、もっと大きな家を購入出来たのに」「賠償金は全部家にまわさず、元の家より小さい建物にして、一部は老後のことも考えて貯金に回した」「大きな家で相当額の賠償を受けた人は、差額を補填してもらおうとすると、もっと大きな高額な家を探さねばならないが、そこまで大きな家は必要がない」などの声が上がっている。

不動産の賠償を始めた当初から、このような補填方式を示しておかないで、一部から不満が出てから補填を提示したために、今度は先行して家の手配をした人たちから不満が出ているのだ。不動産など財産の多寡は、個人によって異なるため、今回の補填は「持っていなかった人」に対して異常に手厚いものとなって公平さを欠いている。公平を期するのであれば、家の賠償を一律2割増しとするなどのやり方が適当であった。窓口にも苦情が殺到しているらしい。

賠償は被災者同士の対立を生み、避難先の住民からはとかく嫉妬されるものであるため、誰もが口を閉ざし、腫れ物扱いの報道がされている。文科省の委員会の状況はインターネットで公開されているが、賠償がどのように行なわれているかについて、東京電力が賠償に使う金の最終的な負担先である電力消費者や納税者にもしっかりと説明がされなくてはならないのではないか。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter