日本エネルギー会議

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ユニークな発言をする人

原子力規制委員会の田中委員長が、またまたユニークな発言をした。委員長は5日の定例記者会見で、規制委に原子力発電所の審査基準の見直しを求めた日本火山学会に対し「もっと早急に発信すべきだ」とし、「火山学会をあげて夜も寝ずに観測して頑張ってもらわないと困る」と皮肉った。それ以前にも火山噴火の問題に関連して、「天災がいつ起きるかわからないので社会活動をやめてくださいという考え方では仕事が出来ない」と発言している。 

「天災がいつ起きるかわからない」というのはやや不正確だ。例えば台風は、南方海上で発生した段階で、ニュースとなって伝えられ、その後も日本列島に近づくコースから大きく外れない限り詳しい予報がされている。大雪、雷、竜巻、高潮、遠くからの津波の到達なども事前の知らせがなされている。現代の科学技術でもいつ起きるかわからないのは、地震や津波の発生、隕石落下、火山の噴火などだ。ただし、大地震は発生周期があるようだし、津波も過去にその場所で大津波があったかどうかは調べられるようになりつつある。火山の噴火についても委員長ではないが、「夜も寝ずに」頑張ってもらいたいものだ。

委員長の言うとおり、台風の進路さえわからなかった時代でも社会活動は続けられてきた。自然災害によって被害を受けるリスクがあっても活動をやめなかったおかげで、今日の我々の存在があるのだ。「羹(あつもの)にこりてなますを吹く」という言葉どおり、リスクをゼロにしようとして何もしなければ何事も成し得ないし、人類は生存出来ない。その意味では委員長の発言はごもっともである。

それに、人類にはリスクを出来るだけゼロに近づける努力をし続けてきた歴史がある。原発建設は大地震が起きそうな所は避けてきた、それまでのその場所の地震の記録で最大のものに耐えるよう建屋や機器の耐震設計をしてきた。

原発の場合、放射性物質を内部にたくさん抱えているため、これを外部環境に出さないことが強く求められている。また、使用済燃料、高レベル放射性廃棄物についてもきちんと保管出来ることが求められている。したがって他の産業の設備に比べて、リスクをゼロに近づける努力が一段となされなければならない。福島第一原発の事故は万一の際の対処も含め、そのような努力が不足していたということだ。

もうひとつの観点は、原発が我が国にとってどのくらい恩恵があるものか、どのくらい必要なものかを確認することだ。原発が他のエネルギーで代替出来ない利点を持っているか、原発がなければ地球温暖化がどの程度進んでしまうのか、十分に利点と必要性が示されてこそ、リスクをあえて受け入れることが出来る。原発再稼働について賛否両論渦巻く中で、その議論がまだ不十分なように思う。

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