日本エネルギー会議

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帰ってからの生活を考える

何年先になるかわからないが、帰還困難区域の我が家に帰ってから、どのような生活スタイルで暮らし始めるかを想像していると時間を忘れる。

まず、家の風呂場、給湯関係を修理する必要がある。エコキュートを新品に買い替え、檜の浴槽は放置してだめになっているから入れ替える。今度は温泉場のように石で出来た浴槽に変えてもよい。車庫や温室も建て替える必要がある。家の外側の柱の塗装としっくい壁の塗り直しもしたい。地震でも落ちなかった瓦は点検すれば大丈夫だ。

富岡町は温暖の地で、もともとエアコンは設置していなかったから、我が家の電力需要はたいしたことはない。多く世帯は電気とプロパンガスの併用だが、我が家は電気がほとんどで石油ストーブをたまに使う程度だった。とりあえずソーラーパネルを再建する車庫の屋根に取り付ける。今は標準的なもので200万円程度だが、帰還する頃にはもう少し安く150万円くらいにはなっているだろう。ただし、売電価格は20円台に下がっているだろうからもっぱら自家消費に回す。このため、家庭用蓄電池を100万円程度で購入する。ソーラーで発電したものと深夜電力で安く買った電気を蓄電池に貯めて使うことで東北電力への電気料金の支払いはなくなり、逆に若干の受け取りになりそうだ。

庭は毎月一時帰宅して樹木の手入れをしたり、夏には東京電力のボランティアに頼んで雑草を刈ってもらったりしているが、大きな樹木を何本が枯れてしまい、剪定が出来なかったために松は形を崩してしまつた。苔もあらかたなくなってしまった。歳をとってからの庭仕事はきついので、これからは生き残って大木になった樹木と庭石に背の低い笹を広げて、絶えず剪定の必要な庭木はやめて、手のかからない自然の木立のような庭にするつもりだ。

私の住んでいた「深谷行政区」は十数軒で構成されていたが、戻ってきそうな世帯は三分の一以下と思われるのでかなり過疎化する。他の行政区と合併するかもしれない。区の行事や作業にはこれまで通り参加するつもりだが、区の住民が少なくなると道路沿いの草刈りは県や町にお願いしなくてはならないだろう。南相馬市では解除になったが住民が帰還せず、立ち入り自由になったことが裏目に出て治安が悪化したと聞いているが、それも心配なことだ。パトカーや消防車の巡回なども頻度を上げてほしい。

田舎では車は必需品だが、これから何歳まで運転が出来るかが問題だ。もしも、運転出来なくなれば、日用品や食料品の買い物をどうすればよいのか。今は健康だが病気になれば通院もしなくてはならない。携帯電話かパソコンで呼び出せるオンデマンドバスを町内循環させておいてもらいたい。それほど需要がないのなら他に郵便や品物の配達、高齢者の見回り確認など他の業務と併せてやってもらえればよい。スーパーや商店も自宅までの配達サービスをするようにしてほしい。アマゾンが開発中の無人ヘリコプターによる配達サービスも田舎の方が実現性と必要性がある。津波で流されたJR富岡駅の早期の復活が待たれる。高速バスはあるが、いわき市や東京に行くには鉄道が便利だ。

帰還するには区域解除が前提で、そのためには除染とインフラ復旧をどんどんを前倒しに進めてほしい。除染で出た土を保管する中間貯蔵施設がないと除染が進まない。先日、復興大臣が「来年一月からの搬入開始は厳しい」と記者会見で発言していたが、これが進まないと帰還後の生活の夢は夢のままで終わってしまう。

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