日本エネルギー会議

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未来からのスタート

日本はこれから田舎も都会も過疎化に直面し、消滅する自治体が多数出ると予想されている。それが日本の未来かと思うと暗澹たる気持ちになるが、福島第一原発の事故で全住民が避難してしまった福島県浜通りの町村は、日本の未来を先取りして少子高齢化が進んでいる。県内外に避難している住民アンケートを取れば、「移住し、戻らない」が半数で、それも戻るのは高齢者ばかりという結果だからだ。

富岡町の場合、事故前の人口は1万5千人であったが、区域が解除され復興がスタートするとされている3年後には、まず5千人からスタートしなければならない。(帰還困難区域があるため、3千人からと見るのが妥当かもしれない)高齢者はおそらく全住民の60~70パーセントに達するであろう。小さな子供がいる世帯で、「解除されればすぐに戻りたい」は皆無に近い。これでは、復興計画が、高齢者対策が中心となってしまい、先が続かない。

過疎化高齢化すると実際に何が問題なのか考えてみると、医療機関や介護施設が不足し、公共サービスが間に合わなくなる。住民同士が助け合うにも高齢者ばかりでは対応力がなくなり、特に防災、防犯などが困難になる。地域は荒れ果て野生動物の被害も防げなくなる。生産力や消費力がなくなり、税収が上がらない。無理をして企業誘致をしても働き手が集められない。企業、商業施設は去り、学校は統合され、耕作放棄地が増加、役場が最大の雇用先となる。自治体の財政は完全に破綻する。こうなると高齢者も生活の不便さに耐えかねて都市を目指して移住しはじめ、一気に限界集落化する。

復興は、除染が進み、インフラ整備がされることが前提だが、どうやっても若者や子育て世代に来てもらわねば、数年で消滅の危機に直面するのは分かりきっている。かつて原発の恩恵による財政の豊かさで数々の制度や施設が充実し「子育てなら大熊町で」「高齢者に優しいのは双葉町」と地域で言われていた。事実、大熊町や富岡町は原発事故前、福島県内でも珍しく子供や年少者の比率が多いほうだった。

緊急的な対策として、雇用先の確保とともに、子供のいる世帯は町営住宅を無料にする、あるいは新築の費用の半分を出す。出産や子育てに係る費用はすべて無料にする、保育園の待機は当初からゼロにするなど、どこよりも手厚い施策で、若者や子育て世代を支援出来るようにすることが必要だ。それには自治体に原発があった頃のような豊かな財源が確保されなくてはならない。とりあえず、廃炉中も電源三法交付金に代わる交付金をもらえるようにする。核燃料税も引き続き課税し、県より町村の取り分を多くする。人口が大幅に減るため、一人当たりの金額は、以前の何倍かになるはずだ。

福島県では復興の目玉として再生可能エネルギーに力を入れることになっているが、最近は接続保留問題が起きている。これに関しては宮沢大臣も新知事に善処を約束したようだが、可能な限り町営のソーラー、風力、バイオマスによる発電所を建設する。これによって雇用も確保しつつ、今後10~20年間、再生可能エネルギーの収益が町の財政を潤すようにしておくとよい。

ただし、潤沢な財源は、町の執行部や町民に依存心を育み、汗をかくことなく何でも他人任せにする恐れがある。これは全国の原発立地地域で経験したところなので、今度ばかりは、そうならないように工夫が必要だ。

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