日本エネルギー会議

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もうひとつの原発事故防止策

安倍総理大臣は選挙後の記者会見で、原発の再稼働について「原発依存度を限りなく低減させていく方針に変わりはないが、われわれには、安定した低廉なエネルギーを供給していく責任がある。原子力規制委員会が安全性を確認した原発については、地元の理解を得つつ、再稼働を進めていく考えだ」と述べた。一方、再稼動に慎重な人々からは、ハードの基準さえクリアーすればよいものではなく、役所、電力会社、自治体など関係する組織の体質などが改善されなければ安全とは言えないのでないかとの意見もある。

福島第一原発の事故の背景を考え、事故が起きてからの対応を見るにつけ、原発に関連する組織の体質の如何は原子力安全の大きな要素であり、直接的ではないにせよ事故に至るさまざまな原因をつくりだしてきたことは容易に想像出来る。これらの対策が出来ていることを再稼働の条件にするかどうかは別にしても、関係者が真摯に取り組まねばならない課題であることは異論がないところだ。

そのような体質問題を検討する上で、原発を国策として推進してきた役所の体質を研究し、それを改善策の参考にすることもひとつのやり方だ。日本の官僚の優秀さ、清廉さは世界が認めるところだが、彼らにはいわゆる役所体質と呼ばれるものが染み付いており、それが行政の効率を落とし、無責任行動をとらせ、さらには税金の無駄遣いを生み、民間の活動を必要以上に束縛し、国民の国に対する信頼感を損なっている。

役所体質は次のようなものがある。
・規則や計画を優先させ、実態とあわないことでも押し通す。
・自らの部門の権限の拡大と予算確保に熱心であり、予算枠は何があっても使いきる。
・民間企業のようなコスト意識がない。(しばしば親方日の丸と言われる)
・主権者である国民に対してお客様意識がないどころか統治意識がある。
・省庁間、部門間のセクショナリズムがあり、本省が絶対的権限を持っている。
・キャリア組が短期間で別のポストに交代することで専門性がつかない。
・情報は欲しがるが、エリート意識が強く自分たちのやり方にこだわり他に見習って改善しようとしない。
・自分たちの身分や処遇は何があっても守られるべきと考えている。天下り先をつくることに熱心で、権限と国の予算で自分たちを守ろうとする。
・困難なことは避け、可能な限り先延ばしを図る。後で非難を受けないよう予防線を張る。責任分散を心がける。簡単でおいしい仕事は取りにいく。
・改革的な考えの人を組織に危険な存在とみなし孤立させ、排除する。
・文書主義、証拠主義、前例主義、権威主義で凝り固まっている。
・立場を利用し、行政指導、示唆、貸し借りで仕事を進めようとする。
・役人の天下り先や役所と深く係わっている民間会社にもこの体質が伝染する。

福島第一原発の事故後、東電の組織体質が事故の背景にあると指摘されてきたが、具体的には東電の組織が役所化したことが問題だった。以前、東電に出入りしていた企業の担当者は「東電は役所以上に役所だ」と嘆いていた。各電力会社は今まで東電と同様、地域独占と総括原価方式の枠組みで、地方ではずば抜けた規模と影響力を持つ企業であり、どこでも「殿様」と言われている。 

原発再稼動にあたり、事故を起こす前の東電のような役所体質の組織になっていないか、再度確認しておく必要がある。役所そのものに関して言えば、その監視役は内閣であり政治家なのだが、福島第一原発の事故後この役所体質が治ったかどうかは不明である。

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