日本エネルギー会議

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記録が語る現場の問題点(3)

福島第一原発の事故現場で恐怖と戦いながら危機的状況を乗り切った福島原発所員の行動記録がある。それは原発事故を防ぐための、また適切な対応を考えるうえの貴重な資料でもある。読んでいくと、所員たちが何に対して、どのように困ったかが端的に伝わってくる。青字は記録、黒字はそれを読んで考えた私なりの指摘である。

【発電所緊急時対策本部(以下、「発電所対策本部」)の状況】
・ 免震重要棟前の駐車場での人員確認が済むと、非常災害対策要員となっていた社員は、免震重要棟へ入り、各機能班の役割に応じて対応を開始した。
・ 発電班は、各プラントの地震後の状況を確認。運転中であった1~3 号機はスクラムが成功し、原子炉停止との報告を中央制御室から受けた。その後、外部電源が喪失してD/G が自動起動しているとの連絡が入った。また、1号機でIC が起動していること、2 号機、3 号機ではRCIC で注水中であるとの連絡が入った。

指摘事項5
1.
発電所対策本部に各号機の重要なパラメーターが同時に見られるようなパネルが必要。本社や原子力規制庁にも同じものがあればなお良い。
2.
免震重要棟のキャパシティや設備、準備品が十分だったかどうかの検証が必要である。

【作業現場での避難状況】
・地震発生時、発電所で勤務していた約6,400 名の内、約2,400 名が管理区域内で作業を行っていた。
・ 地震後、サービス建屋にある管理区域出口の退出モニタゲート付近には、避難してきた作業員が殺到していた。サービス建屋にいた放射線管理員は、中越沖地震の教訓から定めた手順に従い、作業者を身体サーベイなしで管理区域から避難させるよう、保安班から電話で指示を受けた。放射線管理員は、管理区域からの退出ルートとして退出モニタゲートや管理区域入口側扉を開放し、大勢の作業員の避難誘導を行った。地震発生と津波及び避難についてのページングが繰り返し流れる中,まず予め決められた避難場所である高台の免震重要棟前に向かうよう指示した。
・ 防護区域である建屋からの退出ゲート付近では,避難してきた作業員が殺到し、退出待ちの状態となっていた。このままでは将棋倒しの発生等、速やかなゲート通過に支障が出る可能性が考えられた。防護区域の警備をしていた社員は防護管理グループマネージャーに状況を連絡。「人命最優先で退出ゲート開放」との指示を受け、一緒に警備を行っていた協力企業警備員と共に、作業員を速やかに避難させるために、建屋のゲートと周辺の車両ゲートを開放した。現場から避難する人たちの誘導を行い、避難してくる人がいなくなった後で避難誘導を行っていた社員等も避難した。取り残された人がいた場合を考えて,ゲートは開放したままにした。
・ 3/4 号機サービス建屋で避難誘導を行っていた放射線管理員は、避難してくる人がいなくなった後、中央制御室に向かい、当直長に避難完了及び自分たちも免震重要棟に避難することを報告した。その後、免震重要棟に向かう上り坂の途中で、後ろを振り返った時、大津波が来て重油タンクが流される光景を目撃した。
・ 港湾では、タンカー船から重油タンクに給油作業を行っていたが、作業を中止して避難。タンカー船は津波に備えて沖合へ移動していたため,難を逃れた。

指摘事項6
1.
年間365日24時間を通じ、緊急時用に請負企業の従業員も含め、構内に何人の要員を常駐させておくべきか、また、構外には何人を拘束しておくべきか、また本社には何人を拘束しておくべきか決めておく必要がある。拘束するために労働組合との協定や請負企業、委託企業との契約も必要がある。
2.
外部電源が喪失したにもかかわらず管理区域出口の退出モニタゲートの電源はどのようにして確保されたのか検証しておく必要がある。また、電源確保出来ないときの測定などは、どうするかは決めておく必要がある。
3.
電話やページングのための電源はどのようにして確保されたのか確認が必要である。万一電源確保出来なかった場合、連絡手段を考えておく必要がある。
4.
夜間の避難について昼間と何が違うのかを検討しておく必要がある。
5.
津波避難時は徒歩でなく車両なども用意する必要がある。
6.
津波襲来に備えて、港内にいる船舶などをどのようにするかについてあらかじめ検討し、ルールを決めておく必要がある。

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