日本エネルギー会議

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記録が語る現場の問題点(7)

福島第一原発の事故現場で恐怖と戦いながら危機的状況を乗り切った福島原発所員の行動記録がある。それは原発事故を防ぐための、また適切な対応を考えるうえの貴重な資料でもある。読んでいくと、所員たちが何に対して、どのように困ったかが端的に伝わってくる。青字は記録、黒字はそれを読んで考えた私なりの指摘である。

【構内道路の健全性確認の実施】
・11 日16:00 頃、正門付近の道路が崩れているとの情報が寄せられたことから、社員2 名が、協力企業数名と共に構内道路の健全性確認のために、作業着、防寒着、ヘルメットを着用して徒歩で正門に向かった。正門付近を確認したところ、正門を出た辺りに崩落があったものの、車両は通行可能な状態であった。
・正門から出て、西門までの道路を確認。来た道を引き返して構内に戻った。
・次に1~4 号機へ向かう道路を確認するために、旧事務本館前の道路を通って海側へ向かったところ、重油タンクが津波で流されて道をふさぎ、通り抜けが出来ない状況であった。道を外れて建物の裏側を通って海側へ行き、物揚場と1~4 号機の海側の道路を確認。
・徒歩では健全性確認に時間がかかると考え、免震重要棟に戻って業務車を確保し、業務車で通行可能な道を通って海側へ向かった。海側の道路は、瓦礫等が散乱して車が1 台通れる程度の状況であった。
・次に5,6 号機側へ向かった。5,、6 号機の防護区域内へ入れず、山側へ向かったところ、道路が陥没していた。車を降りて徒歩で先の道路を確認したところ、5 号機原子炉建屋西側の斜面が陥没し、土砂崩れで崩落しており、通行不可能な状況。
・来た道を戻り、更に山側にある5,6 号機へのアクセス道路の健全性確認に向かった。アクセス道路は、途中で段差ができており、通行不可能な状態。今後の発電所の復旧作業に支障を来さないよう、道路復旧が必要な状況であった。
・11 日19:24、社員2 名は、健全性確認の結果、「西門は通行可能であること」「旧事務本館前は通行不可能であること」「2 号機タービン建屋海側は通行不可能であること」「物揚場は、ものが散乱して通行不可能であること」「5号機原子炉建屋西側斜面に35cm の陥没があること」を発電所対策本部に報告した。

指摘事項13
1.
道路確保、道路補修のための重機、オペレーターなどの準備が必要である。
2.
地震や津波で通行が危険になる箇所をあらかじめ調査することが必要である。
3.
道路など確認の際には、余震や津波の再来などに備えて見張りを立てるなどの安全上の措置が必要である。
4.
発電所建屋周辺の法面などの強度について調査し必要に応じて補強をする必要がある。
5.
道路などに立てる通行止めの柵や標識・非常灯をあらかじめ準備しておく必要がある。
6.
見回りのため車だけでなくバイクなどを準備しておく必要がある。

【構内道路の復旧作業実施】
・構内道路の健全性確認の結果から、5、6 号機へのアクセス道路の復旧作業を行うこととした。
・発電所の耐震裕度向上工事等のために構内に入っていた協力企業に連絡して、重機の手配を依頼。バックホー(油圧ショベル)と,段差の復旧に必要な砂利を積んだダンプを確保。
・社員3 名で作業着、防寒着、ヘルメットを着用して現場に出発。重機を運んできた協力企業と合流し、10 名程度で復旧作業を実施。ダンプに積んだ砂利に加えて、通行不能となっていた片側の道路の舗装をはいで、その下の砕石や砂利を復旧に使用。バックホーを使用して、もう片側の道路を平らにして復旧。
・11 日22:15、復旧が完了し、5、6 号機へのアクセスが可能となったことが、発電所対策本部に報告された。
・作業終了後には、バックホーを体育館脇に止め、次の作業に備えた。

指摘事項14
1.
道路の補修材料を普段から準備しておく必要がある。
2.
請負企業だけでなく社員にも道路補修のための重機の操作訓練をしておく必要がある。
3.
重機(積雪の多い地方では除雪機も)と重機のための燃料やバッテリーを普段から十分に用意しておく必要がある。

【防護区域内への移動経路の確保】
・通常使用する1~4 号機側の防護区域のゲートは津波で流され、周辺の海側の道路は津波による瓦礫が散乱。車両で往来できない状態であった。
・11 日夕方、他の防護区域のゲートを開放するため、復旧班は現場に出発。免震重要棟から近い位置にあるゲートは、津波の影響による流木、資機材
5、6 号へのアクセス道路の損傷状況(復旧後の状況。片側の道路の舗装をはいで、砕石や砂利を流用して片側車線を復旧)等があり、開放出来る状態では無く、2,3 号機間のゲートを開けることとした。
・11 日19:00 頃、2、3 号機の間にあるゲートを工具を用いて開放。1~4 号機への車両の通行ルートを確保した。

指摘事項15
1.
簡易ゲートなど交通規制用の用具の準備が必要である。
2.
夜間の作業に備えて照明灯などの準備が必要である。
3.非常時の道路補修について請負企業と機械とオペレーターの提供について。あらかじめ契約を交わしてすぐに補修にかかれるようにしておく必要がある。

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