日本エネルギー会議

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命を奪われる事態

毎朝必ず新聞のお悔やみ欄を見ることにしている。元避難区域であった人々が避難先で亡くなった場合、相双地区(相馬市、南相馬市、双葉郡)のところに出ることになっているので、誰か知っている方がいないかを確認する。大半が80代、90代の方であるが、たまに40代、50代の方もいる。病気や老衰が多いが中には事故で亡くなる方もいる。この一ヶ月間でも3件の事例がある。

1件目は4月6日に原発事故で葛尾村から避難し三春町の仮設住宅に入居していた1人暮らしの男性(58)が孤独死した事件。警察によれば男性は病死と思われ死後2、3日が経過していた。2件目は18日夜に郡山市の仮設住宅近くの市道で、富岡町の仮設住宅の入居者だった無職の男性(67)が大型トラックにはねられ死亡した事件。そして3件目は、21日いわき中央署が、職業不詳の少年(18)がいわき市在住の無職の男(32)に殺され、いわき市の山中に死体を遺棄された事件で、少年が原発事故で富岡町から避難していたと発表したことだ。少年は当初家族とともに避難したが、避難先で無職の男と知り合った。

どの事件も原発事故による避難との因果関係は不明だが、関係者にとっては原発事故による長期の避難さえなければ、こんな痛ましいことにならなかったのではないかとの思いがつのる。孤独死や交通事故死は避難して以降、数多く伝えられているが、それはコミュニティの絆の問題であったり、慣れない場所で暮らすことの問題だとも思える。避難している自治体はそれぞれ懸命のケアを続けているが、なかなか防止出来ないのが現実だ。

少年が殺された事件は、2か月前に川崎市の多摩川河川敷で起きた少年グループによる中学生殺害事件を思い出させる。大量の除染関係者や廃炉関係者でいわき市の夜の街が賑わいを見せる一方、毎晩のようにトラブルが起きていることや、避難者に対する地元との軋轢に人々が不安を感じていることと関係がないようには思えない。
今回の原発事故によって放射線による死者や病気は発生していない。また私が知る限りにおいて、避難者に対してこれほど手厚い賠償や心身のケアが行われた事故はない。それであっても大勢の人々が長期間にわたって避難生活をすることによって、命を奪われるような事態が生じてしまうことは誰もが否定出来ない。

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