日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

廃炉の不安材料

このところ経済誌がこぞって東芝の不適正会計問題を取り上げている。問題の発端は「原発投資で最大600億円規模の減損リスク」(週間ダイヤモンド)のようだ。東芝が出資と融資の合計で600億円を投じたアメリカでの原発建設で、プロジェクトに参加する予定だったアメリカ国内の投資家が降りてしまい、さらに原発事故の収拾と賠償に苦しむ東京電力も引き上げたために、このプロジェクトへの投資回収の見込みが少ないと監査法人から指摘された。

このため、決算報告は6月に延期。国内インフラ案件をめぐる工事進捗の過大評価や工事費用の過小見積もりなど不適切会計の問題もあるようだ。もともと他の重電メーカーと比べて財務の健全性に劣る東芝にとっては大問題だ。期末配当は無配となり東芝株はストップ安をつけたが、真相はいまだ不明だ。東芝では原子力部門がウェスティングハウスの買収をきっかけに海外事業を積極的に展開し、原子力畑の社長が登場するなど存在感を見せていたが、その勢いに陰りが見える。

東芝は日立と並んで沸騰水型原発の建設やメンテナンスに係わった中心的なメーカーであり、福島第一原発の廃炉では炉心溶融で溶け落ちた核燃料(デブリ)の位置を測定する装置を開発、素粒子(ミュー粒子)の特性を活用して、デブリの位置を30センチメートル単位で特定する測定を今年10月以降に2号機で始める。デブリの把握は廃炉作業への大切な一歩だ。東芝は2号機の格納容器に入れるロボットも開発。これによって上期中に原子炉の真下の格納容器内を探る計画で、これまた廃炉には不可欠な技術である。

廃炉工事は現場のスタッフだけではなく、工場や研究所のバックアップがあって、工法や装置の開発や製作が可能であり、東芝社内の混乱は少なからず現場に影響を与える。福島県民にとって心配なのは、福島第一原発の廃炉で日立と並んで中心的な存在である東芝が混乱によってその開発能力を低下させ、廃炉工程や現場の安全に影響を与えないかということだ。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter