日本エネルギー会議

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二つのニュース

今日は福島第一原発の事故に関して、内容が異なる二つのニュースが報じられた。
まず、政府と東電が廃炉工程表を改訂し、1~3号機プールからの使用済み核燃料の取り出し開始が半年から3年遅くなることになった。がれきの撤去や作業場の除染に手間取っているのが原因だ。1~3号機の原子炉建屋にあるプールには約1500体の燃料が入っている。特に事故炉では冷却は仮の設備によっているため、使用済燃料の存在は住民にとって心配の種となっている。4号機のように一日も早く全数取り出して高台の建物でキャスクやプールに入れて保管してもらいたいと思っている。燃料取り出しが終わらなければ炉内のデブリの取り出しなどにも支障が出るため全体の廃炉が遅れていく。1号機は3年、2号機は半年、3号機は2年半遅くなった。

住民は事故のトラウマだろうか、事故炉の冷却維持に神経質で、帰還しても再び地震や津波で燃料冷却機能が維持出来なくなり、また避難しなくてはならなくなるのではと心配をしている。帰還の意思についてのアンケート調査をしても、事故炉が心配のないようになっていることが帰還の条件に上がってくる。

今日のもうひとつのニュースは政府が福島の復興政策の指針の改定を決定したことだ。自民党から出ていた「居住制限」と「避難指示解除準備」の2区域(約5万5000人)に対する避難指示を2017年3月までに解除することをそのまま政府が追認した。今までの実績では、精神的損害に対する賠償も解除後1年間で打ち切りとなる。併せて避難している事業者への営業・風評被害への補償も同じく17年3月までとした。

避難指示解除に当たっての放射線量の目安は、「空間線量率で推定された年間20ミリシーベルト以下になることが確実なこと」であるが、「道路、電気、上下水道などインフラや医療・介護など生活関連サービスが復旧すること」も条件となっており、そのことを住民に説明して納得してもらう必要がある。年間1ミリシーベルトにこだわる住民も多く、賠償問題も絡むため区域解除が2017年3月に実現するかはわからない。現在、「居住制限」と「避難指示解除準備」に山積みになっている除染に伴う廃棄物の中間貯蔵施設への搬入も始まったばかりで、十分な敷地の確保は見えていない。こちらの方も遅れ気味だ。

政府が区域解除や賠償打ち切りの時期を決めた一方で、廃炉工程は逆に遅れることを認めた。住民には政府がいかにも強引にことを進めようとしているように見える。

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