日本エネルギー会議

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先頭に立つ

政府・自民党は帰還困難区域を除いて2年後の区域解除の方針を打ち出そうとしているが、インフラは整備出来たとしても問題は帰還した人々が生活するための公共サービスや買い物に行ける商業施設の運営が可能かどうかだ。

現在、区域内の経済活動はゼロに近い。わずかに解除準備区域でコンビニやガソリンスタンドが昼間のみ営業し、除染関係者で繁盛している。今後、区域解除が進んだとしても住民の帰還は進まず、いわき市などから拠点をより現場に近い場所に移した単身の除染や廃炉関係の作業員ばかりが目立つという状況が容易に想像出来る。彼らの求める飲食店、コインランドリー、遊興施設などは集まってくるかもしれないが、肝心の帰還した住民の求める公共サービスやスーパーマーケット、個人商店が元のようになるかはわからない。

帰還してくる住民は高齢者が中心で数が少ない。公共サービス、商業などの担い手は人手不足のため今以上の高賃金でなければ集まらない。ここで考えられるのは国の財政支援によって地元自治体を支えることであるが、それではいままでの安易な原発地元対策と何ら変わらない。国の財政支援は、むしろ市場経済原則で縛られている民間企業に優遇措置を講じ、地域への参入を促すことに使われるべきだ。

避難区域の自治体は公共サービスについて財政支援にすがるのではなく、公共サービスの効率を上げて生産性を高めることに挑戦すべきだ。生産性を高める方法はハード、ソフトともにいくつも考えられる。業務に「IoT」(モノのインターネット化)、スマートデバイス、ビッグデータを活かすなど最新の科学技術の力を借りる。単純作業や負荷のかかる作業にロボット技術を使う。分散している高齢者など対象者を集めてコンパクトシティ化するという方法もあるが、広い空間で生活するという田舎の良さがなくなるので、自動配達、自動運転などの最新技術でカバーしたらどうか。

ソフト面では、役場の職員や嘱託に一人何役もこなせるよう教育訓練をする。高齢者の自宅訪問時に情報伝達、健康状態確認、手続き代行、御用聞きなどワンストップサービスならぬIT端末持参のワンマンサービスが出来れば効率は何倍にもなる。私の見るところ、避難区域の自治体の職員は、今回の事故による過酷な避難とその長期化によって自治体の存亡の危機を実感し、住民との交流もむしろ増え今まで以上に意識が高まっており、一人ひとりの能力向上に期待出来る。また、今回の避難では多くのボランティアの人たちに助けられた。イスラム国は外国からのボランティア戦士が多いようだが、原発事故の被害からの復興を支援したいという、止むにやまれぬ気持ちを持った若者や、元気な年金生活者、専門知識や技能を持った人々を国内外からインターネットで募集してみてはどうか。これは人口減少対策にもつながるはずだ。

避難区域のように極端ではないにせよ、全国の地方自治体では人口減少と高齢化、過疎化に直面して自治体自身の生き残りを賭けて対策を考えている。その意味で原発事故のお膝元の自治体はその先頭に立って公共サービスの効率化に挑戦してほしい。

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