日本エネルギー会議

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めまぐるしい世の中

電力会社に入社して退職するまでの40年間に教え込まれたことは、世の中の仕組みや技術は長い間かけて築き上げられたもので、そう簡単に変わるものではなく、電力という重要な社会インフラを支える側は、しっかりと腰を据えてブレないことが大切だということだった。その「動きの遅いことに価値を認める企業」がまもなく電力の完全自由化に直面しようとしている。電力会社間の競争は別にすると競争相手は、「動きの速いことに価値を認める企業」となりそうだ。

電力会社で育った人たちは、電力会社はベースロード電源の大半をしっかり握っており、原発も2030年で電源の20~22パーセントが必要と認められている。再生可能エネルギーはコストが高く、出力が不安定であるという欠点があり、系統への接続制限の壁がある。太陽光発電や風力発電をこれ以上に増やせば系統が混乱し、バックアップ電源がさらに必要となり、蓄電池で貯めようとすれば、ますますコストアップになると確信している人が多い。

だが、昨日インターネットで見つけた「デジタルグリッド」構想は、それまでの常識を覆すのではないかと考えざるを得ない。「デジタルグリッド」とは、分散電源間で自由に電力を融通できるシステムであり、狭い範囲から全国規模のものまでの電力融通により自由化後の電力市場に欠かせないものになると思われる。欧米などで先行している需要制御技術などとは違う新たな提案だ。

開発を提唱しているのは、東京大学大学院の阿部力也特任教授。阿部氏はもともと電源開発(Jパワー)の人間だから、電力事情にうとい門外漢が夢を語っているのではない。その研究組合は昨年暮れに日本政策投資銀行、東京大学エッジキャピタル、電源開発、NECなどから合計5億8千万円の資金を調達している。デジタルグリッドの内容はテレスコープマガジンというインターネットサイトに出ている。疑問を感じる方にもご覧いただき、評価をお聞きしたい。
テレスコープマガジン

高崎市の突風で200枚ものソーラーパネルが破壊されたニュースを聞いて、やはりあてにならない電源だと思っていたが、「デジタルグリッド」という援軍で、景観破壊や騒音公害の問題は引き続きなくならないにせよ、太陽光発電や風力発電の伸びる余地が出てきた。最近の世の中の動きは「動きの遅いことに価値を認める企業」で育った者にとって実にめまぐるしいものがある。

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