日本エネルギー会議

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一歩前進

原子力規制委員会は各原発の事故訓練を義務付け、これを毎年評価することにし、一昨日その結果を始めて公表した。福島第一原発の事故を反省しての試みで原発の安全はまた一歩前進した。13項目について、ABCの三段階評価がつけられ各原発が比較されたことで、今後は地元自治体を意識して競争で事故対応力をつけることが期待される。項目には他社の訓練を見学したかの項目もあり、情報共有によって他社の優れた点に学び取り入れることを推奨するかたちになっていることも良い点だ。

このような訓練の評価には陥りがちな弊害もある。項目を固定すれば時系列で改善の様子がわかるが、委員会の示した評価項目を重点的に訓練するようになり、大学受験のように「傾向と対策」に走る可能性もある。

評価のコメントを見ると、評価側の見方がやや型にはまった感じがする。フィギュアスケートの採点のように、型に該当すればAをつけるという心配もある。実戦的であったかどうかを問題にしているというが、潜在能力まで類推して評価することが望ましい。評価者という「目利き」を育てる必要がある。

シナリオについて、いくつかの原発ではシナリオなしの訓練に挑戦したようだが、シナリオなしが本当の意味でのシナリオなしになっていたのか知りたい。訓練シナリオが複数あり、その中のどれが行われるかを参加者に知らせていないというシナリオなしではまだ本当の訓練にはならない。

スリーマイル島原発や福島第一原発の事故の記録を読めばわかることだが、運転員や原発の技術者は当初いったい何が起きたのかがわからなかった。福島の場合、外にいた運転員が中央制御室にもどって報告したことにより、大津波によって非常用の施設が壊滅的損害を被ったことを初めて知った。

事故対応するにしても、外部に連絡を取るにしてもプラントで何が起きているのか、設備がどのような状態になっているのか、今後どのような状況が予測されるのか知ることが先決となる。強い放射線のために現場に立ち入りできずわずかに得られた情報から類推したり、逆に膨大な情報から必要な情報を選択したりして、事故の全体像とクリティカルなポイントを指し示せるかが事故対応能力の肝だ。そののちにどのような的確な対応手段を考え、それを実行するための現場的能力が必要となる。

これからの事故訓練は、何が起きたのか短時間で把握する能力を養うことに力を注ぐべきであり、そうするためには原子力規制委員会や電力会社
の「課題を出す能力」や「訓練の際の評価能力」をもっと上げなくてはならない。

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