日本エネルギー会議

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運転手の確保

「川内原発事故時のバス避難輸送、33社と鹿児島県が協定」の朝日新聞の見出しが目にとまった。川内原発の重大事故に備え、鹿児島県は5キロ圏の住民の避難に使う最大80台のバスの運行について、県バス協会、バス運行会社33社と協力協定を結んだ。県がバス会社に協力要請をする際、運転手らの安全確保に配慮し、放射線防護措置などの安全対策をとり、運転手が死亡したり負傷したりした際の補償も盛り込んだ。川内原発の再稼働に間に合わせようと、県やバス協会などが懸命の努力をした結果だ。

福島第一原発の事故の際は、国土交通省が大熊町や双葉町の住民のために水戸市などのバス会社に数十台を手配した。その時は協定も、防護処置もなかった。その点では大変な進歩ではあるが、今回バス運転手が協力するのが、一般人の放射線への被曝限度(年1ミリシーベルト)を下回る場合に限るという決め方には疑問を感じる。

果たしてそれをどうやってあらかじめ推定するのか。もし、1ミリシーベルトを超しそうな場合は運転されないのか。その場合、住民はどうなるのか。バスを運転している間に、超しそうになったらどうするのか。その場合は、自衛隊、警察、消防などが代わって運転するのか。大地震や津波によって原発事故に至った場合、道路はどうなっているのか。住民がすみやかにバスに乗車出来るのか。バスや運転手を拘束するための対価は支払われるのか、バスの運転手が拒否することはないのか、など疑問は尽きない。こうした場合、県の担当者は「とりあえず確保出来た。これから少しずつ改善を図る」と釈明することが多いが、とりあえずの措置がそのまま何年も変わらないのはよくあることで、担当者は大事故が本当に起きるとは思っていない証拠だ。

避難用バスの運転手に限らず、原発構内の下請け会社の作業者や病院や介護施設の職員など、一般住民ではない人たちに対する措置や基準も含めて、見せかけではなく実際的な対策を検討して決めていく必要がある。こういうことは各自治体が個別に決めるのではなく、全国共通のものにすべきだろう。

このニュースは各紙各局であまり取り上げられなかったが、これも福島第一原発事故の風化現象だろうか。

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