日本エネルギー会議

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トリプルA

九州電力川内原発1号機が8月10日に原子炉を起動し、9月中旬には営業運転を再開することになった。いよいよベースロード電源としての原発の存在感を示す時がきた。なぜ原発が政府によってベースロード電源に位置づけられたかといえば、トリプルAの電源、すなわち安定、安全、安価であるからだ。
安定性については、原発は昼夜連続で一定の出力で運転するので太陽光発電や風力発電に比べると一日の発電量は極めて安定的である。しかし、年間で見た場合、稼働率で見ると日本の原発は世界的に見てそれほど安定的なものではない。事故やトラブルあるいは検査や改造工事のために停止している期間が結構長い。福島第一原発の事故前でも、欧米や韓国に比べて稼働率で10から20ポイント引き離されている。原発そのものは安定性があるが、日本ではその長所が十分に活かされていない。今後再稼働する原発はまず安定性が求められる。

次に安全性。商業炉は世界中で500基にも達し安全性も向上しているが、この間に3回の大事故を起こしている。これもよく見るとスリーマイル島やチェルノブイリは1基の事故だが、福島第一原発の事故は同時に4基。事故の基数で言えば世界中で過去6基が大事故を起こし、そのうち4基が日本ということだ。日本で商業用の原発が始まってから50年になるが、残念ながら原発の安全性が活かされてこなかったことになる。今後再稼働する原発は地震、津波だけでなくさまざまなリスクを押さえ込まねばならない。

最後に安価ということだが、これは建設費、燃料費、運転やメンテナンスの経費、廃炉費用、放射性廃棄物処理処分費、事故の賠償費などのコストと、運転期間中にどのくらい発電出来たかということで決まるが、これも稼働率に大きく左右される。日本では発電単価は過去の実績によって一応計算されているが、放射性廃棄物処分費や今回の基準見直しに係る追加投資の償却費、事故の賠償費などは今後どの程度嵩むのか不明なままであり、いま政府が示している価格は必ずしも確定的ではない。

こうして見ると、原発は理論上ベースロード電源にふさわしいトリプルA電源なのだが、実際には稼働率などまだまだ課題がある。稼働率向上は福島第一原発の事故以前から業界の最大の課題の一つであったが、法的な連続稼働月数制限、定期検査の内容や方法などで乗り越えられなかった。日本では事故前でさえ、生涯稼働率が8割を超える原発はそう多くはない。今後、原子力規制委員会、原子力規制庁が運転中の原発に対してどのような規制や検査をかけていくかは不明で、再稼働後に稼働率が直ちに上向くとは限らない。
各国の国債信用度のように、原発も各社、各号機ごとにトリプルAを最高ランクとして安定、安全、安価の三要素でランク付けし公表してみてはどうか。原子力損害賠償責任保険の引受先である日本原子力保険プール(損保各社が参加)が格付けし、電力会社の支払う保険料に反映すればそれが最も合理的だ。

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