日本エネルギー会議

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大シミュレーター構想

運転シミュレーターや現場保修作業用のシミュレーターは存在するが、事故の際の状況判断に使えるものはない。事故対応に使用しようとしている現在の小型シミュレーターは主要なパラメーターを入れて、原子炉の挙動を大まかに模擬する程度のものだ。プラントのすべての設備を包含し、周辺のモニタリングポストなども含めて三次元映像で状況がわかるようなシミュレーターは造れないものか。

地震や津波に対しても、実際に揺れたり、海水が侵入するなどもアニメーションで模擬し、一部の機器が海水で破壊される、あるいは全電源喪失するなどの状況も模擬出来るものが望まれる。このシミュレーターが完成すれば、原発の第一線で事故対応に当たる所長以下の人たちに対して、緊急時とは全体がどのようになるかを容易に理解し、どのようなタイミングでどのような指示を出すべきか実際に近いかたちで学ぶことが出来る。

このような提案をするのは、福島第一原発の事故の際に、現場の免震重要棟での所長以下が経験した恐怖と不安や東電本店や官邸での混乱状況をなんとかしないといけないと考えたからだ。よほどプラントに精通している技術者も、断片的なデータや報告をもらってプラントの状況を把握することは困難である。さらに発電所のどの部分がダメージを受けたらどのような影響が他に及ぶか、それを避けるためにはどうすればよいかなど対応を考えることも例え図面とマニュアル類、設備仕様書があっても頭の中で構成するのは極めて困難なことだ。

私の同期入社のベテラン当直長が、「原発の運転は操作盤を見ながら、現場をイメージする。つまりプロの棋士のように将棋盤を見ないで将棋を指すようなものだ」と教えてくれたことを思い出す。これからも福島第一原発の現場で行われたように図面とマニュアルを見てホワイトボードに簡易な系統図を描き、数値を次々に記入しての対応というのでは、あまりにも時代遅れではないか。

いまの状態であれば、フライトシミュレーターの方が、飛行機の姿勢や外部がどのように見えるかなども模擬しているので一日の長がある。原発の事故トラブルを周辺地域も含め鳥瞰図のように把握出来るシミュレーターの開発を日本の原発メーカーが世界に先駆けて挑戦すべきだ。

官邸においては、福島第一原発の事故が発生したときに、まず原子炉規制法など法的に事故対応がどのように法律で決められているか、六法全書を1ページづつ繰ったという。それならば、このような状況では、どの条文条項によりどんな報告や決定や指示がなされなくてはいけないかをコンピュータやデータベースで支援してくれるコンピュータシステムも開発しておく必要がある。 

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