日本エネルギー会議

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待ったなし

各地の原発の先頭を切って、川内原発が再稼働した。福島第一原発の事故で挫折した原子力発電の再生においてその意義は大きいというのが関係者の共通した思いだが、私は別な意味を感じている。それはいよいよ我が国の原発関係者が、再び原発事故のリスクに直面した状態と捉えているからだ。

遡ること四年半になる福島第一原発の事故だが、当時の東京電力の本社、現場の混乱、原子力安全委員会、原子力安全・保安院のしどろもどろの会見、当時の菅総理とヘリコプターに同乗した原子力安全委員長の当惑ぶり、本店とのテレビ会議で本社の役員にあからさまな不信の言葉をぶつけた発電所長。何の役にも立たずにすごすご引き上げざるを得なかったオフサイトセンター。いまもって脳裏に焼き付いている。

さて、川内原発再稼働を迎えたいま、事故に備えた電力会社の事故対応体制、現場スタッフの実力、正確な状況説明と的確な指示を期待される原子力規制委員会や原子力規制庁のスタッフの実力はどの程度なのだろう。従来の原発関係企業などとの距離を考慮して決められた原子力安全規制委員会の委員、旧原子力安全・保安院のメンバーを中心にした原子力規制庁の職員の実力は、いまどれほどのものなのか。万一の際には、福島第一原発の事故の時とは格段によいパーフォーマンスが期待出来るのだろうか。そこのところを教育実態や事故対応訓練などを公開してもらい、いかに頼れるか国民にしっかり示してもらう必要がある。

さらに気になるのが、原発の現場と支援部隊のいる場所との距離の問題だ。福島第一原発の事故の際は、東京電力の本社があり、原子力安全・保安院がある東京から直線距離で二百数十キロの福島まで、ヘリコプターでひとっ飛び、高速道路でも2~3時間で駆けつけることが出来た。北海道から九州まで電力会社の本社から原発まで、本社から政府の対策本部の置かれる東京までの距離はかなりのものだ。電力会社によっては関西電力のように原子力の本部が美浜町に置かれているような例もあるが、それは例外だ。例えば島根原発の場合、電力会社の原子力部は広島に、政府の対策本部は東京という三角関係になる。

テレビ会議システムなど通信手段が発達した今日ではあるが、原発事故対応、住民避難においては、いかに現場や現場の近くにすばやく必要なスタッフや資材を集めることが大事かということを考えると、本当に大丈夫なのかと心配になる。こうした問題も、今までは検討中、準備中、訓練中で済んできたが、再稼働が始まればその瞬間から待ったなしとなることを忘れてはいないか。

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