日本エネルギー会議

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畏れ

航空業界をめざす大学生が、日航ジャンボ機墜落事故の現場となった群馬・御巣鷹の尾根で、慰霊の支援を続けている。30年前の惨事を知らない世代だが、事故と歩んできた遺族や日本航空、地元の人々に学びながら、めざす仕事の厳しさと向き合っている。「山には、亡くなった多くの方々の血がある。簡単に掘ったり崩したりすることは今でも避けています」。7月、東京都文京区の東洋大学白山キャンパス。御巣鷹の尾根の管理人を務める黒沢完一さん(72)の話に、国際地域学部の島川崇准教授(航空経営論)のゼミ生ら約20人が聴き入った。島川准教授は元日航社員。ゼミ生のうち、航空会社をめざす3年生に「仕事にかける使命感を理解してほしい」と、2013年から事故について学ばせている。 (朝日新聞 2015/8/8)

日本航空JAL123便墜落事故は、今から30年前に起きた単独機としては世界最悪の520人の犠牲者数を出した航空機墜落事故だ。東京電力福島第一原発の事故も同じように30年経っても忘れることの出来ない事故となるだろう。各大学の原子力工学専攻の大学生や、これから原発に携わろうとする電力会社、原子炉メーカー、研究機関の新入社員たちにも、福島第一原発の事故から学ぶ機会を是非とも作ってもらいたい。ここは原子力学会や原子力安全推進協会などに期待したいところだ。

我が国の原子力研究の創成期に活躍した学者は口を揃えて、原子力に関わっている人々は、原子力に対して常に「畏れ」を持つようにしなければならないと述べている。「恐れ」はこわいという気持ちであり、そのまま恐怖と言い換えてもよい。しかし、「畏れ」は「神の偉大さに畏れをいだく」というように使う。神仏や年長者に対するつつしみ。はばかり。敬い、かしこまる気持ちが込められている。そのような気持ちを、福島第一原発の事故現場を訪問することで、若い人に学び取ってもらえるのではないか。

恐竜が繁栄した中生代には、我々の祖先の哺乳類はまだねずみのような小ささで、地中の穴などに潜って、恐竜に食べられないよう警戒しなければならず、ビクビクしながら暮らしていた。今や人類は他の生物を圧倒して我がもの顔に振る舞い資源を独占し、原子力というエネルギーまで手に入れた。そこで「畏れ」をいだく気持ちを忘れてしまっては、恐竜と同じ運命をたどる可能性が高い。

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