日本エネルギー会議

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心して読む

今月開催された原子力防災会議での安倍総理の発言が官邸HPに載っている。役人の作文かもしれないが、読むといろいろな疑問が湧き上がり、世論調査で多くの人が再稼働に反対する理由も理解出来る。

平成27年10月6日、安倍総理は、総理大臣官邸で第5回原子力防災会議を開催。会議では、「伊方地域の緊急時対応の確認結果」、「平成27年度原子力総合防災訓練の実施」について報告されました。総理は報告を踏まえ、次のように述べました。
「本日、伊方地域の避難計画を含めた緊急時対応について、具体的かつ合理的なものとなっているとの報告を受け、関係自治体、関係省庁が参加した地域原子力防災協議会で確認したことを受けて、これを了承しました。

(疑問1)
誰が何を基準に(あるいは合格点として)了承したのか不明だ。関係自治体、関係省庁が参加した地域原子力防災協議会で確認したというのなら、自分たちのやったことを自分たちでよしとしたのであり、お手盛りではないか。また再稼働を目指している政府がこれを了承したというのも、客観的な判断とは言えないのではないか。それこそ規制委員会や独立した専門的知見を持った機関が審査して合否を出すべきだ。

また、11月には伊方原発を対象にして原子力総合防災訓練を実施します。伊方地域の緊急時対応の実効性を検証するとともに、訓練結果から教訓事項を抽出し、緊急時対応の改善や充実に取り組んでいただきたいと思います。
原発については何よりも安全性を最優先させます。原子力規制委員会が、科学的・技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発について、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが、政府の一貫した方針であります。

(疑問2)
耳にタコが出来てしまった文言だが、「本当に世界一か」という疑問が出ていることに対して、しっかり説明すべきではないのか。「原発については何よりも安全性を最優先させます」と繰り返しているのは、自信のなさの現れなのだろうか。規制委員会の判断を尊重して再稼働を進めると言っているが、宮沢前大臣は「再稼働は電力会社の判断」と述べており、相変わらず不明瞭だ。

このような政策を推進する責任は政府にあります。その上で、万が一、原子力発電所の事故が起きてしまい、災害になってしまうような事態が生じた場合、国民の生命、身体や財産を守ることは政府の重大な責務であり、責任をもって対処してまいります。自治体を最大限支援し、全力を尽くすことはもちろんであります。このため、原子力災害対策の強化について、国の責務として、継続的に、総力を挙げて取り組んでまいります。本日御出席の中村愛媛県知事並びに関係自治体におかれては、このような国の方針に御理解をいただき、何とぞ御協力をお願いしたいと思います。

(疑問3)
政府の重大な責務とか責任をもって対処するというのは、当たり前のことであり再稼働が政府の方針であってもなくてもやるべきことだ。いままでは自治体に丸なげしたつもりでいたのか。県知事も再稼働同意前にこれが聞きたかったというのもおかしなことだ。今回の発言を自治体に対して担保として差し出したつもりなら、いままで政府の責務と思っていなかったのだ。知事や自治体に対して何に協力してくれというのか不明だ。訓練なのか再稼働なのか、それとも?

 
東京電力福島第一原子力発電所事故から4年半が経過した今もなお、原子力の利用に対する国民の懸念は払拭できていません。この現状を謙虚に受け止め、原子力の重要性やその安全対策、原子力災害対策等について丁寧に説明することはもとより、国民の皆様の様々な声に耳を傾けつつ、政府としての取組に適切に反映しつつ、原子力について更なる国民理解が得られるよう、引き続き、全力で取り組んでいく所存であります。」

(疑問4)
今もなお避難が続いていることに触れていないが、数年もの長期避難が必要な深刻な災害が起きるかもしれないというのも国民の懸念のひとつではないか。そもそも、総理は国民の懸念の中身は何だと思っているのか。払拭できていないのなら、払拭出来るまでは再稼働をしないとするのが論理的ではないのか。それを敢えて再稼働するというのなら、その理由を総理の口からしっかり述べるべきだ。この点では民主党時代の野田総理の方が正直だった。「丁寧に説明していないので、懸念払拭が出来ていない」「方針は正しいのだが、理解出来ない国民が多いのが問題だ」と勝手に決め付けるのはひどく傲慢な態度に思える。

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