日本エネルギー会議

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聞こえてくる話

今、南相馬市はすごいことになっているらしい。南相馬市は福島第一原発より北の南相馬市小高区、浪江町、双葉町などの除染をする作業員の宿泊地となっている。山間部には川内村、葛尾村などもあるが、飲食店などもそろって福島市、仙台市などへのアクセスもよい南相馬市を好む作業員がほとんどだ。

既存の旅館などは満杯。そのため宿舎が次々と建設されている。その規模も2百人が泊まれる大きさだ。個室が確保され、造りは簡単だがちょっとしたビジネスホテルのようだ。エアコンの取り付けを請け負った業者は一度に200台のエアコン取り付けに汗をかいている。

原発の定期検査で集められる作業員は地元の要求で無理矢理に襖一枚で隣り合わせの民宿に宿泊させられることがあるが、最近は駅前のビジネスホテルの方が多い。除染の作業員も相部屋はいやがるので個室になっている。宿舎では食事も提供するが食べるかどうかは本人の選択になっている。

いままでのように宿舎としてゼネコンに貸せば月額の家賃収入になるがそのやり方はしない。建物のオーナー自身が旅館業の登録をして、宿舎をビジネスホテル化して一泊3000円取れば、満杯の場合オーナーには1日60万円の現金収入となる。月に1800万円、年に2億円だ。これで宿舎建設費は1年で元が取れて翌年からはすべて儲けになる。南相馬市ではまとまった土地を持っている人が、次々と宿舎を建てている。

宿舎の建設を請け負っているのは浜通りの業者ではなく、福島市、郡山市など中通りの業者が多い。彼らは車で一時間半かけて毎日通勤している。中通りでの震災復興や避難者が賠償金で家を新築する仕事も峠を越したようで、建売住宅の展示販売なども客集めに苦労しはじめたため、建設業者は南相馬市まで来ているのだ。須賀川市の知り合いの内装業者の店に立ち寄ったら、奥さんと娘さんが南相馬市にカーテンを取り付けに出かけていて帰りは遅いと主人が話していた。これから冬を迎えると中通りからの通勤は雪の峠越えとなるので大変だろう。この宿舎建設ブームが去ると福島県内の建設業は、いよいよ仲間内での仕事の取り合いになりそうだ。

市内のコンビニ、ガソリンスタンドなどサービス業はあいかわらずの大忙し。コンビニのレジはいつも列が出来ている。常盤自動車道が全線開通したのでサービスエリアや国道6号線沿いにある南相馬の道の駅も賑わっている。

気になるのは除染作業員が大量に採用されても、一週間もたつと辞めていく人が多いことだ。近くには米沢市と相馬市をむすぶ新たな高速道路を建設中でそちらに回る人もいるようだ。除染作業は装備も厳重でこまかい規則が多く、気をつかうわりに賃金が安いからだと言われている。東京オリンピックが近づいて建設作業が活発になれば、さらに作業員が流出してしまうだろう。

先日、関西で捕まった少女誘拐殺人犯が除染作業員として南相馬市にいたニュースは、地元の人にとって衝撃的だった。作業員は夜繁華街に出かけてトラブルを起こすこともしばしばで、最近は地元の人と除染作業員の飲みに行く場所の棲み分けも出来つつあるようだ。宿舎で作業員同士のいざこざがあって、警察官が宿舎に立ち入ろうとしても、「うちわのもめごとだから」と断られることもあるという。こうした治安状況では、幼い子供や学童のいる世帯はあえて南相馬市に帰還しない人が多いことも理解出来る。

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