日本エネルギー会議

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巨大組織は何故大事故を起こすのか(20)

本シリーズの(4)において、近代的な生産設備は主に機械設備、電気設備、制御設備などで構成されているが、原発でも使われている技術は原子力工学を中心にあらゆる分野にまたがっていると述べた。実際の組織も原発が異なる技術分野が集まっていることがそのまま反映されている。技術系、事務系を問わず組織の構成員は○○屋という屋号内の閉じられたセクション内におり他セクションの状況はつぶさには知らない。

このような組織において、原発の新たなリスクの再評価、新たなリスクが浮上したときには適切な対応が取れるとは思われない。原発のリスクを総合的に見なくてはならないのは、法的には電力会社であり、技術的には原子炉メーカーだ。しかし、いずれも組織内部が細分化されており、どの部門もどの課も総合的にリスクを捉えるのに十分な情報と権限がない。

そこで原子炉安全に特化した部署を各現場に置くことを原子炉の運営にあたる電力会社に法律で義務付けることを提案したい。原子炉主任技術者がこの組織を統括することとして、プラント全体的なリスクの再評価が、規制当局からの指示や外部からの指摘で受動的に行われるのではなく、自主的に日常的に行われるようにするべきだ。

この部署のトップを所長直属の部下にしないことが大切だ。なぜなら従来、原子炉主任技術者が副所長、次長クラスが兼務することで、人事権を持つ所長の意向を汲む傾向があったからだ。この部署のトップは社長の直属とし、規制当局にも独自のルートを持つようにする必要がある。この部署に配属された者は、すべて発電所の業務との兼務をさせないことを条件にすべきで、幅広い知識と能力を持つために、配属までに複数の部署を経験させておくことにすることが推奨される。海上自衛隊の潜水艦の艦長は潜水艦内のすべての担当部署を経験した者の中から選ぶようになっている。配属後はメーカー、工事会社、原子力安全推進協会などへの出向、研修派遣、内外の他電力会社の原発視察などを業務として行い実力の涵養に努めるようにする。

また、原発の緊急時訓練などのシナリオ作成や訓練時の観察、評価などもこの部署が行うようにし、実際に原発の緊急時が起きた際には、本部付けでアドバイザーグループとして働くこととする。

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