日本エネルギー会議

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避難区域のこれから

福島第一原発の事故から4年8ヶ月。富岡町は再来年春の帰還(帰還困難区域を除く)を目標として掲げ、国による除染も本格的に行われている。最新の町民へのアンケート調査(本年8月3日に実施)によれば、帰還を判断する上で必要な情報としては、インフラの復旧時期の見通し、自分以外の住人がどのくらい戻るかの状況の方が、放射線量の低下の見通しや事故収束や廃炉の状況より大切だとしている。また、帰還の判断がつかない理由としても、医療環境の不安の方が、放射線量が低下していないことへの不安より多くなっている。
各地の放射線量について、NHKなどメディアの報道ぶりは、その日の数値を単に発表するだけで傾向がわからない。そこで、町内の72ヶ所について町が独自に毎月1回行っている測定の結果(富岡町が毎月各世帯に郵送している町の広報誌「とみおか」に記載されている)から、自宅のある深谷行政区の集会所と深谷行政区から国道6号線に出る信号機のある交差点(みよし菓子店前)の2箇所のデータを取り出してグラフにしてみた。(単位はマイクロシーベルト/時。地上1メートルでの測定値。青色が深谷集会所、赤色が国道交差点)

深谷地区は帰還困難区域であり、除染はほとんど行われていないため、放射線量が4分の1になったのは自然の減衰と思われる。その原因はセシウムの半減期による、浜風により他に運ばれる、地中に浸透する、などが推定されるが、どれが最も大きく寄与したかは不明だ。また平成24年の9月までがそれ以降より低い値である原因も不明だ。意図的なのか怠慢なのか知らないが、このようなグラフが国や自治体そしてメディアからもほとんど出てこないのは甚だ遺憾だ。

線量は自宅の庭でも2マイクロシーベルト/時以下であるが、いかんせん帰還困難区域となっており、解除の見通しどころか除染の計画さえない。国は楢葉町に続いて富岡町の面積の3分の2を占める居住制限区域と解除準備区域を優先して除染し区域解除を目指している。

自宅周辺は線量が下がるのに反比例して、すべての田畑それに空き地が他の地域の除染で出た廃棄物が詰まった黒い袋の置き場にされている。現在は自宅敷地の南側の畑と東側の牧草地にはまだ黒い袋が積まれていないが、ここに積まれるのも時間の問題ではないかと心配だ。もし福島県以外で、自宅周辺の空き地という空き地に除染で発生した黒い袋を事前説明もなしに積まれたら、自分の所有する土地でなくとも当然県などに抗議するだろう。富岡町ではそのような住民無視の行為が常態化しているのだ。

このような状況になったのは、大熊町と双葉町の国道6号線の東側にあり福島第一原発に最も近い民有地である中間貯蔵施設建設予定地の地権者の了解が取れず、各自治体で出た黒い袋の最終的な行き場がないためである。新しい環境大臣は建設予定地の地権者が何故了解してくれないのか、その理由をよく聞きたいと言っているが、そんな悠長なことをしていてよいのだろうか。中間貯蔵施設建設を了解した内堀福島県知事や大熊双葉の両町長は、国のお手並み拝見ということではなく、一歩踏み込んで地権者の説得に乗り出すべきだ。それでだめなら国が強制収用をすることを考えた方がよい。

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