日本エネルギー会議

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巨大組織は何故大事故を起こすのか(23)

本シリーズ(9)(10)(11)では共同組織の拡大とその役割、共同組織の存在と経営判断への影響を見てきた。対策を考える上で、その内容を振り返ることにする。
電力会社が新たに原子力発電を開発推進するなかで、バックエンド、調査研究、教育訓練、広報活動、ロビー活動など各社共通のニーズを事業目的とする数多くの企業、機関、団体が作られた。同時に各組織は電力会社の役員や職員、後には国や自治体の行政官、金融機関役員、学者たちの天下り先になり、結果として国も含めた関係者を虜にする環境を整えた。また、社内の異色人材、反抗的人材の出向先、転籍先とすることで社内には批判する力がなくなった。

共同組織への出資、費用負担、借入の保証、人の派遣は、電力各社の売上高などに比例して割り当てられた。最大手の東京電力は一番多く負担すると同時に主要ポストを独占した。その中で原産会議は唯一東京電力色が薄かったが、2006年に原産協会と名称を改め東京電力が人を送り込んだため一気に東京電力が強まった。

この状況は各電力会社の原子力事業に係る経営判断に大きく影響を与えた。各社は電事連や原産協会で決めたことに従うしかなく、独自性を出すことが難しくなった。逆に社内向けには電事連で決めたのでやらざるを得ない、あるいは連合会で了解を取るまでは出来ないという言い訳が通用した。これは民間による護送船団方式であり、問題対応においてスピードが早い会社は遅い会社がついてこられるようになるまで待つことになった。電事連方式は国としても規制内容や支援内容について業界の意見の一本化、実行の担保がとれて好都合だったが電事連やその中心である東京電力に対しては行政指導が効かなくなった。 

東京電力は共同組織を通じて業界内で磐石な位置を確保したが、逆に問題も抱えた。 
・共同組織は東京電力の批判をしないため、東京電力は外部の忠告や大事な情報を聞くことが出来なくなった。
・資金や費用のかかることが発生した時、その負担を率先して引き受けることになった。度重なる追加投資と共同組織の維持にかかる費用は膨らみ、東京電力の原子力部門は社内の他部門から厳しい視線を浴びるようになった。
・原発の稼働率に関し東京電力は業界下位であり、業界を震撼させた事故隠しなど一連の不祥事で焦りがあった。
・思うように物事を決められる反面、他社から苦情や不満が出ないよう絶えず気を配らねばならず、経営判断は外部を気にしながら行われた。

東京電力は業界の隅々まで支配力を得たため、業界全体を考えなくてはならず、ダイナミックな経営、合理的な経営がしにくいという皮肉な状況になってしまった。問題解決にあたって経済力を背景にした政治力を使うことが多くなった。

また、社内的には原発の基数が多く、本店管理部門と現場との関係において本社が圧倒的な力を持っていた。管理調整の業務が大半となり、技術的な課題をメーカーなど外部に頼る傾向が生じた。

以上の分析を踏まえて次のような提案をしたい。
(1)
共同組織に関し、電力会社と同じような管理の業務をしている部分は削減する、似たような組織は統合するなど必要以上に共同組織を肥大化させないようルールづくりをする。
(2)
国、自治体などからの天下りを迂回方式も含め断る。
(3)
共同組織のトップのポスト、キーとなるポストは指定席化せず、各電力会社の持ち回りとする。共同組織のプロパーもトップとなることを認める。
(4)
原産協会は再度、元の原産会議のように電力会社の代弁でなく、大所高所から原子力を国民的立場で見守る使命を与える。
(5)
内部告発制度が機能するようにするとともに、社員や共同組織の職員の率直で自由な意見を聞けるような仕組みを作る。
(6)
現場の所長を本店管理部門トップに気兼ねせずに発言出来るよう社長もしくは担当副社長の直接の部下とする。
(7)
電力会社から共同組織への出資などは、一社が独占しないよう制限する。

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