日本エネルギー会議

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100億円と処分場を受け入れる話

国が富岡町にある既存の民間産業廃棄物処理場を買い上げて、福島第一原発の事故で出た放射性廃棄物の最終処分場にする計画が実現しそうだ。ここに処分するのは、放射性物質を含むごみの焼却灰や下水汚泥などで、放射性セシウムの濃度が1キロ当たり8000ベクレル超、10万ベクレル以下の廃棄物。現在、県内に約13万8000トン存在する。


この処分場については1年以上前に富岡町と楢葉町(処分場の入口がある)に国から申し入れがあり、環境省から町民への説明会も二度にわたって行われ反対の意見が多数出たいきさつがある。現地では反対の旗が立っている。

富岡町議会は11月24日、全員協議会を開き、井上環境副大臣から国が取り組む追加の安全対策や地域振興策について説明を受けたが、宮本町長は「総じて国は町や町議会の意向を踏まえ、真摯に対応している」と評価し、楢葉町と協議した上で、町として判断するとした。それを受けて町議会は計画受け入れの可否について、町の判断を尊重することを了承した。

同日、内堀福島県知事は、国からの要請に基づき両町に計100億円の交付金を拠出すると発表し、これを「受け入れを検討する際の判断材料にしてもらう」とした。交付金の使途として、長期にわたる風評対策や地域振興事業を想定しているようだ。宮本富岡町長は知事の提案に対して「既存の交付金で賄えない部分に充てられる使い勝手の良い交付金であり、ありがたい」と発言。富岡、楢葉の両町長は、近々受け入れの判断をしそうだ。福島県以外の東日本の各県では放射性廃棄物の処分場がいずれも地元の大反対で暗礁に乗り上げているが、環境省はようやくひとつの最終処分場を決められそうだ。

富岡町は全住民が避難中で、帰還を諦めた人、なんとか帰還したいと考えている人、それぞれが複雑な思いでこのニュースを聞いたはずだ。私が遺憾に思うのは、説明会で再三、なぜこの場所が最適と判断したのか、検討の経過とデータを示すように要求したがついに説明はなかったことだ。半年後に開かれた二回目の説明会でも同じ要求したが、環境省の役人は「資料が不十分で申し訳なかった」とうなだれるばかりでまともな説明をしようとはしなかった。既存の産廃施設を買収すれば、すぐに処分場が手に入るという考えが強いため、説明会は単にアリバイづくりのように感じられた。同席した町長も無言を貫き通した。

100億円の交付金は人口が合わせて2万人の両町にとって破格の金額だ。米軍基地の建設に関して、政府が沖縄県の頭越しに辺野古地区に多額の金を直接ばらまくようだが、同じようなやり方だ。ただし、福島の場合は県知事も巻き込んでの話になっている。

こうしたやり方をされると、住民たちはそんな大金を出すのは、実際に危険なものが埋められるのではないかとか、町長が裏取引をしているのではと疑心暗鬼になる。第一、100億円の根拠はまったく説明がつかず、使徒はこれから具体化するというのもおかしな話だ。これは各地の原発関連でもよくあったことだ。この程度の処分場で100億円なら中間貯蔵施設や最終処分場ではいったいいくらの金がもらえるのか。原子力の地域対応があいも変わらず金まみれとの印象がぬぐい去れない。

富岡楢葉の両町については福島第二原発の再稼働問題があり、県知事や県議会は廃炉を主張しているが、東京電力は電力供給問題もあってまだ判断出来ないと言い続けている。これは町長も同じであり、「現段階では再稼働か廃止かを言える状況ではない」としている。町長の煮え切らない態度は、国や東京電力と裏取引があるのではないかと住民から不信感を持たれている。

処分場によるイメージダウンを払拭するというが100億円をどのように使うアイデアがあるのか。またぞろ維持費で苦しむ評判のわるいハコモノづくりとならないよう監視が必要だ。100億円で再生可能エネルギー施設を建設して、今後数十年にわたって町の収入の足しにするようなことを考えた方が良い。

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