日本エネルギー会議

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巨大組織は何故大事故を起こすのか(25)

本シリーズ(13)において巨大組織における物事の決まり方が巨大事故を引き起こす経営判断に大きく影響することを述べた。対策を考えるにあたって、その内容を振り返ることとする。

1.
巨大組織では、稟議書、役員会、株主総会など決裁・議決の機会があるが、会議の前に既に結論は出ていて形式的になっている。起案者が各個撃破の根回し、あるいは最高権限者に先に了解を取り付けることで、自由に意見を出し討議する本来の決済・議決システムが機能不全になっている。社長が役員の人事権を持つことで役員が日和見になっている。

2.
役員会は本来、全社的観点から物事を判断する存在だが、電力会社など大組織では役員が○○担当という肩書きで各部門を代表する形をとっているところが多い。担当役員の役割は各部門提案の議案通過を支援すること。他の役員はお互いのために、あからさまな異議を申し立てない。

3.
巨大組織は中長期計画、年度計画、年度予算により事業運営されている。計画外・予算外のハードルはかなり高いので、「来年度まで先延ばし」「別の方法の検討」「様子見」「準備だけを予備費でやる」などの選択肢を担当部門が選択しがち。組織にとって大事な懸案でも、担当役員には話はするが、担当部門で温め続け、状況が変わる、あるいは根回しが終わるまで議案にしない傾向がある。
 
以上を踏まえて次のような提案をしたい。
1.に関して
・起案部門が、先に社長に意見を聞いたり、根回しに行ったりすることを禁止する。議案でなくプレ議案として諮り、意見を聞き方向性について了解を取る制度を設ける。このプレ議案制度は近年、一部電力会社で実施されている。

2.に関して
・ボードメンバーと執行部(執行役員)と明確な分離をすることで部門の主張を代弁する役員をなくす。
・社外で育った者を一定割合でボートメンバーにするルールとする。海外における同業種の外国人役員経験者でもよい。

3.に関して
・予算外計画外で重要な案件を先送りせずに積極的に上げさせる工夫をする。計画立案時に、将来リスクについて各部門から申告させることが必要。
・担当部署からしか議題を出せないルールを変更し、ボードメンバーからも課題を各部門に出す機会を設ける。
・部門や職位を問わず、無記名でリスクに関する指摘をボードメンバーに出来る制度を設ける。
・外部の有識者(あえて反対派や原発支持団体以外の団体でもよい)からリスクについてボードメンバーなどが指摘や助言を受ける機会を設ける。

(つづく)

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