日本エネルギー会議

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エネルギー産業によるまちづくり

福島第一原発の事故で全町避難を続けている富岡町の復興計画(第二次)によれば、産業再生・創出プロジェクトとして「エネルギーを中核とした産業によるまちづくり」を掲げている。具体的には再生可能エネルギー事業がつくり出す[地域の再興]を目指し、原子力に依存しない「新たなエネルギーの創出」、売電益の一部を地域に還元、電気を効率的に地産地消できるスマートコミュニティーの形成に向けモデル的な導入を促進するとなっている。

富岡町は現在も昼間しか立ち入りしか認められない地域だが、昨年6月にシャープと芙蓉総合リースが共同出資するクリスタル・クリア・ソーラー社が建設した「シャープ富岡太陽光発電所」が町内の工業団地で商業運転を開始した。このミドルソーラー発電所は、敷地面積は約3万平方メートル、発電能力は約2メガワット、年間発電量は238万キロワット時、一般的な家庭の年間消費電力量に置き換えると約663世帯分に当たる。

さらに昨年12月に富岡町は、福島発電(株)、JR東日本エネルギー開発(株)の2社と共同で、町自身が「シャープ富岡太陽光発電所」の10倍の規模のメガソーラー発電所を建設することを発表した。福島発電は県や市町村、県内の金融機関、民間企業などが出資し震災後に設立された企業だ。

計画によれば、町内の農地40ヘクタールを使って、出力が2万8000キロワット、年間発電量は一般家庭の約7800世帯の年間電力使用量に相当する約2800万キロワット時のメガソーラーを来年春に着工、完成は2017年秋となる。発電した電力は全量東京電力に売電し、年間で約9億円の売り上げを見込む。運営は同町と福島発電、JR東日本エネルギー開発が出資する富岡復興エナジー合同会社が行う。

海に面した富岡町は温暖で晴天日が多く雪も降らない。農地であっても電気は農作物と違い風評被害も起きない。接続上限や送電線も十分に余裕があるという好条件が幸いしている。富岡町の震災前の全世帯数は約7000世帯。ソーラーは不安定な電源だが、年間発電量だけで見れば、二つのソーラー発電所で電力の地産地消が達成出来ることになる。安定した発電収入も町の財政にとっては魅力的だ。立地10年、建設10年の原発に関わってきた私のような者にとって、メガソーラーの立地1年、建設1年は驚くべき速さだ。出資者のリスクも比べ物にならない。

避難によって耕作放棄地となる田畑も多くなると予想されるので、さらなるソーラーや風力やバイオなど再生可能エネルギー発電所の増設も考えられる。また、放射性廃棄物の詰まったフレコンパックが広範囲に山積みされているので、この上をソーラーパネルで覆えばフレコンパックの劣化も防げて一石二鳥だ。

現在停止中の福島第二原発4基は、富岡町と楢葉町にまたがっているが、県の再三の廃炉要請に対し国も東京電力も回答を保留しつづけている。また、宮本町長も「今は判断出来る状態ではない」と判断をしないままで、町の復興計画もそのように書かれている。一方、東京電力もいつでも再稼働出来るように着々と準備を整え、住民対策もやっている。あの東日本大震災の地震と津波に耐えたという実績もある。確かに福島第二原発の地元に対する雇用と購買、交付金の経済的貢献は抜群のものがあり、ここは再生可能エネルギーとは違う。原発の運転保守に必要な要員が再び町に住むことになれば、これを再建の柱にすることは極めて現実的な考えだ。復興計画にうたっているように「エネルギーを中核とした産業によるまちづくり」にも合致する。

ただ、福島第二原発の再稼働は指定解除による住民帰還に対して冷水を浴びせることになるという見方がある。復興計画づくりに参画した住民代表も概ね再稼働には否定的だった。今後、国や東京電力が福島第二原発の再稼働に向かえば、沖縄の基地問題のように国と県の対立が生じ、県民の意見も割れることが予想される。

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