日本エネルギー会議

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石炭火力は甦るか

大人気の連続テレビ小説「朝がきた」で主人公「あさ」は九州で炭鉱を買って成功する。文明開化時代のエネルギーは蒸気機関車を走らせた石炭であったが、戦後も復興のためのエネルギーとして石炭産業は花形であった。3.11で原発が停止したあとも、我が国で新たに建設される発電所は石炭火力が目立つ。埋蔵量も豊富で多くの国から安定した形で石炭が輸入され、備蓄も容易であり、環境アセスには苦労するが、新たな発電所の建設には一番手っ取り早い。

ところが最近、海外特に先進国では石炭火力が温暖化の原因と槍玉に挙げられ、石炭火力は融資対象から外すことを決めるなど石炭火力はすっかり悪者扱いされている。ここにきて盛んになった石炭火力の増設について環境省は反対の立場をとっている。排気ガスからCO2を取り除くCCS方式もコストの問題と最終処分方法に突き当たっている。

こうした動きに抗するように、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は昨年、発電時に発生するCO2をほぼ全量回収し、最先端の石炭火力発電所と同水準の発電効率を達成する次世代型石炭ガス化複合発電システム(IGCC)を5年かけて開発することにした。

この動きとは別に、つい最近、京都大学の物質・細胞統合システム拠点が化学吸収法の代替案として膜によってCO2を回収する方法を開発した。CO2の回収には大きなエネルギーが必要とされるが、この方法であると従来より回収コストを1000分の1に出来るという。

回収されたCO2の処分方法についても新たな動きがある。従来はドライアイスにして海底や地層に入れることが考えられていたが、やはりコストや環境の問題に突き当たっていた。ところが、逆転の発想で回収したCO2を植物の育成増進に使うことがオランダで始まっている。ロイヤル・ダッチ・シェルの製油所が近傍の園芸農家に100パーセント近いCO2を供給している。CO2の多い環境下では、野菜の成長は25パーセント増進するという。

さらに興味深いのは、大阪市立大学の人口光合成研究センターでCO2などを原料として太陽光を当ててエタノールを生成することに最近成功したというニュースだ。将来CO2大歓迎ということにならないとも限らない。こうなると悪者だった石炭火力が一気に甦る可能性がある。

つくづく思うのは「必要は発明の母」であると同時に、「科学技術が引起こした問題は政治や経済ではなく科学技術で解決するのが原則」ということだ。

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