日本エネルギー会議

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危険な兆候

アンケートを取ると依然として原発に依存しない社会を求め、原発の再稼働には慎重な意見が国民の中に多いことがわかる。これに対して安倍政権は、将来原発に出来るだけ依存しないとしながらも、出来るだけ多くの原発を再稼働させようとしている。2030年の電源構成で原発を20~22パーセントにしようとしているが、運転期間を40年超とし、大間や東通はもちろんのことさらに新たな原発を建設しなければつじつまが合わない。これに関しても安倍政権は詳しい説明を避けている。

安倍総理は「国民の幸せな生活を守るためには、国民の多くが反対である政策でも、あえて国民のためにやるのが為政者の勤めである」と、上から目線で強弁しているように思える。(安保法制もそのように見える)これに対し、国民の多くは、安倍総理の本音は原子力村や利権絡みの政治家、財界の要求(安保法制の場合はアメリカ)によるものかもしれないと疑いの目で見ているという構図だ。

安倍総理は原子力規制委員会が世界最高水準の基準をクリアーしたと認めた原発は再稼働させると繰り返し言っているが、その判断材料、検討経過、結論を得た道筋を国民に丁寧に説明すべきだ。(丁寧に説明するという言葉も安倍政権になってから随分手垢にまみれてしまったが)

国の新たなエネルギー計画に沿って原発温存をするのであれば、エネルギー安全保障や温暖化対策としてのどの程度役立つのか、そのためには消費者の負担はどれほどになるのかを、しっかり示すべきである。こうした問題をもっとオープンに、もっとスピードアップして議論する必要がある。

特定廃棄物処分場に関して環境省が富岡町民に対して行った説明と同じで、検討の経過を説明せずに「現在の候補地がベストだ」という結論だけを繰り返すやり方をとっているのは、国民を子供扱いしており許し難い。(とは言うものの総選挙をすればまた自民党が勝つように選挙制度が出来ているという指摘もあるが)。

政府は委員会や専門家会議などで、いかにもオープンでワイドな議論をしている印象を国民に与えているが、委員会のメンバーを見ると結論が想像出来る。あえて反対の人を言い訳のために少数入れるような姑息なやり方は指弾されるべきで、それが政府や役所の特権であるかのような態度にも腹がたつ。

こうした状況は二重の意味で危険な兆候だ。ひとつは「何を言っても安倍政権は聞く耳を持たないのだから、力づくで倒すしかない」と幕末の江戸幕府や明治維新後の新政府のように倒幕の機運が高まり世の中が不安定になること。もうひとつは中身のある議論がしっかりと行われる機会が失われることであり、より良い解が求められない。これが一番残念なことである。

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