日本エネルギー会議

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避難区域の第一次産業

避難区域の除染が行われている区域にはどこもかしこも仮置きのフレコンバッグが山積みされているが、そのほとんどが田や畑のあった場所。それらの土地の賃料は一反当たり年間15万円。復興庁の決めた賃料の根拠は不明だ。コメは一反10俵収穫出来るが、農協などへの一俵の販売価格は1万円程度なので、一反耕作することで年間10万円の売上にしかならない。しかも、労賃、機械代、苗、肥料などの経費を考えれば、所得としてはさほどでもない。ちなみに福井県が示している貸した場合の相場は一反で1万円/年間だ。

例えコメを作っても収穫は天候次第で風評で買い叩かれるのは目に見えている。農家は田畑を復興庁に貸せば、何もせずに賃料がもらえる。これでは後継者不足の農家は農地をずっと貸していたくなるだろう。福島第一原発近くに計画されている中間貯蔵施設が出来るまで、双葉郡の町村の農地の多くは長期間放射性廃棄物置き場であり続ける可能性が高い。  

避難区域が解除されたあとの農林水産業のあり方について提案がある。それは再生可能エネルギーとのハイブリッド型第一次産業だ。日本各地で田畑にソーラーパネルをいくぶん高く設置して、その下でコメなどの作物をつくる試みがされている。食糧としてではなく燃料としての作物栽培も考えられる。芋は日当たりが悪くとも育つので芋を植えてバイオマス発電の燃料とすることも可能だ。間に風力発電のタワーを建てることを考えても良い。

福島県の山間部で面積の8割を超える山林では除染が行われない。林業を再生するとともに、間伐材をバイオマス発電の燃料として安定的に供給することが出来る。これも日本各地で盛んに行われているが福島県ではまだ低調だ。

福島県沿岸の漁業はいまだに操業制限や自粛が行われている。現在、楢葉町の沖合では世界最大の浮体式風力発電のプロジェクトが完成に向かって着々と進んでいる。富岡町の我が家から数百メートルの断崖からは、遥か洋上にその巨大な姿を見ることが出来る。富岡町には小さいながら漁港もあり、事故前は知り合いの漁師から魚を頂いたりしていた。浮体式風力発電設備のアンカーは海底に打たれており、その周辺に漁礁を置けば、いままで以上に魚が集まり、より豊かな漁場になるだろう。

安倍首相は今月5日、福島県を水素エネルギーの技術開発拠点とする「福島新エネ社会構想」を発表し、福島において風力発電で製造した水素を2020年東京五輪・パラリンピックでも活用しようとしているが、水素の輸送、貯蔵の手間や安全性を考えれば、従来、原発で行っていたように電気を直接首都圏に届ける方が合理的だ。首都圏の電力需要は接続制限にはほど遠く、高圧送電線は現在も維持管理されているのだから。

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