日本エネルギー会議

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欧米人の発想で

便利な世の中になったものだ。外出していたため、NHKスペシャル「原発メルトダウン 危機の88時間」を見逃してしまったが、YouTubeで見ることが出来た。1時間半を超す番組であったが、俳優を使って中央制御室や免震重要棟内部のセットで撮影した場面と実際の東電本店の対策室のビデオ、それに設備を説明するCG、建屋外回りや免震重要棟内の静止写真などが混在していて、どれが現実か作りものかわからなくなる。それが演出の狙いだったのかもしれない。

3基の原子炉が次々にメルトダウンに至る経過が伝えられているが、最大のピンチだった2号機の原子炉内部の圧力上昇が突然「0」となって事態が収束に向かう。見ている側は突然話が終わってしまって、何が起きたのか、ラッキーだったのか、そうなるのが自然だったのかさっぱりわからないまま番組が終了。吉田所長等が「死を覚悟した」と苦悩する場面がいつまでも印象として残ってしまい、彼らの英雄的行動を礼賛するための番組だったのであれば、どこかの局で以前放映したチェルノブイリの消防士の壮絶な話の焼き直しのようにも思えた。疲れきって免震重要棟の廊下でごろ寝している作業者に吉田所長が礼を言う場面もあった。

私が思うに、欧米の原子力の関係者にこの映像を見せたら、きっと彼らは
心理学者、医者、栄養管理学の専門家などを動員して、あのような長期の修羅場ではどのように心理面のサポートをすればよいのか、交代要員をどのように配置するべきか、休息と栄養補給をどのように取らせればよいか、建物や設備をどのように改善すべきかを立案するだろう。

戦争において欧米人は兵站を重視し、また個人にかかる負担をなるべく減らすように人員、物資、装備など、あらゆる支援体制を考える。そうでないのが日本人だ。福島第一原発の事故では、番組で俳優たちが演じた以上に、現場の関係者の誰もがなんとか事故を収束させようと己を犠牲にして奮闘したに違いない。だが、今もって彼らを褒めたたえ、感謝するだけで良いのだろうか。ここは欧米人の発想で、大和魂に依存しないで済むための恒久的対策を打たねばならない。

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