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もうひとつの脅威

廃炉中の福島第一原発では、汚染水や使用済燃料の管理の他にもうひとつの脅威がある。下の写真に写っている3本の排気筒が倒壊しないかという心配だ。

福島第一原発の排気筒は鉄骨で囲まれ120メートルの高さがある。海岸にあるために潮風の影響も受け、錆が進行しないように塗装を何年かに一回やり直すことになっている。その際には排気筒の螺旋階段を登って直接点検をするなどして状態の把握をしている。私のいた東海第二原発でも、排気筒の塗装工事は高所からの作業員の墜落や工具の落下、塗料の飛散の恐れがあり、ネットで覆うなど安全管理には特別に気を配っていた記憶がある。

事故を起こした福島第一原発の排気筒の塗装はすでに5年以上行われていない。万一、排気筒が倒壊でもしたら、それこそ大災害になる。果たして鉄骨の健全性は保たれているのかが心配だ。
東京電力は昨年の10月26日に「福島第一原子力発電所1/2号機排気筒点検結果について」を発表しており、下記のサイトで内容を見ることができる。
詳細はこちら

それによれば、2013年8月に実施した初回点検で、写真のように地上66m付近に斜材の破断事象が確認されており、そのため排気筒の維持管理を目的として1回/年の目視による点検を行っている。具体的には、地上から望遠カメラを使用し、排気筒の各方向から撮影を実施し、撮影した写真を初回点検時の写真と比較し、点検個所の有意な変化の有無を確認している。

昨年秋の点検結果は、初回点検時に確認された変形・破断箇所以外に新たな損傷等は確認されなかった。また、変形・破断箇所も有意な変化は確認されなかったとしている。なお初回の結果は、破断箇所破断箇所5箇所(北面2箇所南面2箇所西面1箇所)、変形箇所:3箇所(東面2箇所南面1箇所)で、いずれも地上66m付近の斜材接合部だ。

東京電力は、損傷を考慮した排気筒においては、基準地震動Ssに対し、耐震安全性が確保されていることを確認したとしているが、これからも目視点検だけで行くつもりなのか心配だ。排気筒の下部は放射線量が最も高い場所であり、事故当時に配管の付け根での最大値は2000 ~10000ミリシーベルト/時。排気筒脇の人の背の高さで500~1000ミリシーベルト/時で、直接腐食の状況を確認したり、保修したりするのは極めて困難だ。これから何年か経てば腐食がさらに進んで、部材の落下や排気筒そのものの倒壊の危険が大きくなる。

福島県や茨城県では、まだ東日本大震災の余震と思える地震が続いており、台風や低気圧による強風によって排気筒の倒壊や部材の落下の恐れがある。万一事故になれば、作業員の死傷、汚染水対策設備の損傷、排気筒内部の残留放射能の飛散などが心配だ。この点、原子力規制委員会はどのように考えているのだろうか。国や東京電力は出来るだけ早く排気筒の補強や解体の計画を作り、実行する必要がある。

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